並中生徒会長、だった人の日常 (ページ35)

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なぜここへ来たページ35

初日、残りわずかな電池で頑張っている携帯に来たメールは、恭弥からのメール。

【勝手にすれば。】

その言葉を、いつものように受け止められる程の余裕はなかった。

そこからはヴェルデさんとの研究三昧でなんとか誤魔化せていたけど、そろそろ自分の考えもどうにかしないと4日目にして考える。
無理やり朝食の席に座らせたヴェルデさんが口を開く。

「聞き忘れていたが、なぜここへ来たんだ？」

「なぜ、とはどちらのことを聞いてますか？」

「両方だ。」

ひとつは、ここへ来た『理由』。

ユニや白蘭、XANXUSさんたちのヴァリアー、クロームちゃんたちや、京子ちゃんたちの一般人、代理戦争で気が合った風…なんなら、チェッカーフェイスや尾道。

繋がりがあるのに、なぜ自分なのか、ということ。

もうひとつは、ここへ来た『事情』。

私はここへ来た事情をなにひとつ話していない。
なにか事情はあるだろうが、それを聞かずに黙っていてくれたのだろう。

普段なら来ないであろう者が、なぜここへ来た、ということ。

訳も話すことなく、仕方ないと家に匿って貰えたのは有難いとしか言いようがない。
私は泊めてもらっている身分だ、正直に話すしかない。

「…実は私、恭弥とケンカしたんです。」

ヴェルデさんは黙って聞いてくれていた。

「誰かなら干渉してくるだろうけど、きっとヴェルデさんならせいぜい『くだらん』と一蹴してくれると考えて、お願いしました。」

ヴェルデさんの動きが一瞬止まる。
図星だったのだろう。

だが、それが助かる。

「ユニや白蘭たちは心配。ヴァリアーはボンゴレ経由。一般人の女子の情報は緩い。風は仲を取り持とうとすると考え……私の信用している人の中で、最も現実を見て、合理的な判断をくだせるヴェルデさんに頼みに来ました。」

「わかってるじゃないか。」

虹の代理戦争とあの夢の中から、ヴェルデさんの人柄は大体は把握した。
この言葉は彼にとっては毒ではないだろう。

「私は、ボンゴレや恭弥にも危険はなにひとつない、最善策を考え抜きました。

けれど、それを『最善策じゃない。』『こんなくだらないことをしてたの。』終いには、『こんなの失敗策もいいとこだ。』と言われ、距離を置きました。

私の見方だけではなく、多方面から考えた方がいいと。」

「そこまで考えられる理性はあったのだな。」

「ありませんよ。あったらこんなことになってませんし。」

ヴェルデさんのジョークに私は小さく笑った。