並中生徒会長、だった人の日常 (ページ34)

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嫌な汗ページ34

雲雀side

【帰る場所、一時、変更します。】

久しぶりに彼女から送られて来たメールの内容に舌打ちをする。
いつもは通話で互いの声を聞くから。

「ひ、雲雀さん…」

沢田綱吉が顔を青くしながら話しかけてくる。
動揺が大きく見えているところから内容は容易に想像できた。

「帰る場所を、一時的に変更、するって…」

「……」

「…A、から…伝言を、頼まれて……」

他人が彼女の名を呼ぶことすらムカつきを増幅させるだけだった。
舌打ちをすると、悲鳴をあげる沢田綱吉を咬み殺し、僕はそれを踏みながら感情のまま返信した。

【好きにすれば。】

その後はいつも通り咬み殺した。

しかし、気がつくといつもより咬み殺した時間が遅くなっていた。
疑問に思ったが、普段ならば彼女が途中で僕を止めていることに気がつく。
朝、昼、夜は必ず食事を取るように言われていたからだ。

今はもう夜と呼べる時間だ。

彼女に腹を立てながら、いつも通り帰り、小さな抵抗のように食事はとらなかった。
そのまま布団へ入り、横になったところでようやく気がつく。

彼女の帰る場所は僕の元ではない。

なら、『どこに？』

『誰のところで？』

嫌な汗が流れる。
彼女の言う、『心配』というものに草壁へ連絡をした。

？？？？side

いきなり現れ、いきなり数日匿って欲しいと話してきたこいつは…

「ヴェルデさん、お昼ご飯作りました！」

「……わかった。」

…思った以上に頑固で、世話焼きな、『研究者』だった。

ことは2日前に戻る。

自分を匿って欲しいと言うA。
一応アルコバレーノシステムについては借りがある。
期間は不明。
だが、そう長くは居ない予定だと話していた。

「今後の人生などに影響しないことなら、家事でもなんでもやります！！」

その言葉に承諾した、が。
朝昼夜は必ず食事をとることだけは強要された。
だが逆に言えば、それ以外は不便をしていない。

「純度の高い炎が欲しい。」

「はい、どうぞ。」

最初はただの炎の提供だけだったが…

「…ではこれはどうでしょうか。」

「ほう、面白い考察だな…」

「ならばこれはー」

「…なるほど。」

「ここの回路をー」

「ほう…」

空野Aは考えていた以上に、楽しめる『研究者』だった。