並中生徒会長、だった人の日常 (ページ33)

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昔の私ページ33

雲雀side

「…昔の私どうだった？」

その言葉に話が始まる。

「昔のA？」

「名前ない時の私。…獄寺くんを仮死状態にさせちゃった私だよ……」

本人は申し訳ないとソファーの上で正座をしながら呟く。
過去を思い出しながら話す。

「自己紹介の存在を否定して、自分はいつでも最悪策を選ぶ…死にたがり？」

「…自分で聞いといて、なんか…こう、なんだろ…」

頭痛が痛くなる、とでもいうように頭を抱えるAに追い討ちをかける。

「あと少し手合わせして、敷布団で一緒に寝たり、どこに行くにしても僕に着いてきたり、膝の上に乗りたがったり…とにかく甘えん坊。」

「……一番言われたくなかった…」

今度は頭ではなく、顔を隠して正座のままうつ伏せになる。
耳が赤いことから、相当恥ずかしいのだろう。
VGの懐中時計を僕の前に突き出す。

「……VG前の、匣…なんで夜の炎で出たのかわかったんだけどさ……これ、昔の、私だった…」

「……昔の？」

「……うん。」

「ひねくれて不器用で、戦闘のことしか知らなくて、毒が入っていない食事に不安がって、洋服のことすら知らなくて、敷布団の存在もわからないから僕と一緒に寝たり、臨機応変だとか言って名前を聞いてきて、ずっと着いてきて、終いには膝の上に乗りたがるAの？」

「それ聞きたくなかったなー！！」

耳を塞ぐAだが、残念ながら事実だ。
「ワンピースに防御力を求めたAが？」と言うと、より顔を赤くしたのか、耳まで真っ赤になっていた。
本題に入ろうとして頑張って顔を上げるも、その顔はさっきよりはマシになったのだろうが、赤いままだった。

「え、えーと…私が、夜ウサギのアルマに名前をつけたのは……この子、昔の自分だってわかったから…なんだけど…」

「昔の自分？」

「攻撃の仕方とか、直ぐに終わらせたいって感じの戦い方とか…？まあそんなので、この子には名前がないんだなーって。」

確かに名前をつけると直ぐに元の姿、ウサギに戻ったとは聞いたけど…
だとしても、あの凶暴性は…危険だった。

「名前を受け取ってからは…性格が甘えん坊で…確認、みたいな？」

「警戒心がすごかったけど、それがなくなればすごく甘えてきたよ。」

「うわぁぁぁ……」

過去の自分に頭を抱えるA。

けれど、その甘えてきたのが僕だけだから、許してあげる。
Aの頭を撫でると、「甘やかさないで…」と声が聞こえた。

知らない。