並中生徒会長、だった人の日常 (ページ31)

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僕の番ページ31

雲雀side

沢田綱吉から聞いた事。
それは、自己紹介を無意味と考えるほどひねくれていた、あの時代のこと。

「誕生日も名前も、年齢も…全部無かったから…羨ましくて、聞きたくなかったんだと、思う。けどそれは…祝われる人の存在を、否定してるもので…えっと……だから…」

「だから？」

「……人の幸せを、邪魔しちゃいけないって…」

人の幸せの邪魔。
誕生日や名前、今まであったものすべてを否定する。
それはとても酷いこと、そう感じたそうで。

「じゃあ自分の誕生日って、どうやって決めたの？」

「あそこから脱走できた日。何日眠ったとか、逆算した。」

実験場から開放された日を逆算した。
この世に誕生した日を、逆算したのが誕生日、らしい。

「じゃあその日に決めたんだから、プレゼントぐらいもらってもいいんじゃないの。…僕の、いつも受け取らないけど。」

「あ、悪意はないよ！？えっと、なんていうんだろ…こう…人から物をもらうのが、怖い？みたいな…感じ？」

そういえば、と思い返す。
生徒会長へと渡された学内のプリント等は受け取れども、差し入れなどは一切受け取っている様子を見たことがない。

必ず、金や別のなにかを対価にしている。

唯一受け取ったものといえば、未来の自分からのリングと匣と手紙のみ。
ボンゴレリングは返す人も居ないし、ずっと着いてくるから、仕方なく…というものだろう。

対価に対しては、僕にも。
『同級生』の僕からももらうことはない。

「なんで。」

「なにも返せない、から…？わかんないけど…なんか、そんな感じする。」

自分でもわからない、謎の恐怖。
それは深層心理になにかあるのかもしれないが、それはまず置いといて。
「じゃあさ。」とこちらから。

「君が僕の誕生日を祝って、プレゼントをいつも押し付けてくるのに、君は受け取らない。…これって不平等じゃない？」

今度は僕の番だ。