並中生徒会長、だった人の日常 (ページ30)

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祝われろページ30

雲雀side

クラッカーが鳴る。
正直誕生日なんてどうでもいいけど、一名だけ全力で僕の誕生日を祝おうとする者がいる。

「……毎年祝うの、なんで？」

「恭弥が生まれた日なんだから、祝ってもいいじゃん。」

「めでたいよ？」と首を傾げるA。
Aは僕に誕生日プレゼントを押し付けてくるが、僕からの誕生日プレゼントは絶対に受け取らない。

「祝うなら自分のも大人しく祝われてなよ。」

「気持ちだけ受け取っとくから大丈夫だよ。」

これがいつもの誕生日プレゼントを受け取ってもらえない理由だった。
しかし、今年は一味違うようだった。

「祝うなら僕だけじゃなくて、君も祝われろ。」

「……ありがとう。」

随分と大人しく、不安になる。
大人しくなった時は…というものだ。

「……なにかあったの。」

「別に。なにもないよ？」

「……僕が君の嘘を見抜けなかった時は何回あったっけ？」

「……ないね。」

苦笑するが、こちらはそれどころじゃない。
また変なものに首を突っ込んでしまったのかと心配にもなる。
だって、『同級生』だから。
言いにくそうに、「あの、さ…」と口を開く。

「私には…祝われる、価値が…ない。…だから、受け取れない……」

「……」

「……ごめん…」

泣きながら、ぽつりぽつりと零していた。
そんなの、あってたまるか。

「君の価値は君が決めるんじゃなくて、周囲が決める。僕は祝う価値があると判断したから、毎年用意してる。」

事実、毎年、誕生日も同じということでふたりで誕生日を祝う。
ふたつのケーキと、互いのプレゼントを用意して。

だがAが僕のプレゼントを受け取ってくれたことは…今まで一度もない。

なぜその考えになったのか。

その考えを口にすることになったのか。

また誰かの影響を受けたのか。

そう思考を巡らせるも、Aが目の前で泣かれていては集中できるわけもない。

「誰から、どんなお話を聞いたの。」

「…沢田くんから、昔の、私のお話…」

沢田綱吉をあとで徹底的に咬み殺すと決めた。