並中生徒会長、だった人の日常 (ページ29)

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君に無理をさせてまでページ29

雲雀side

Aの話は信じられないことばかりだった。

ひとつめ、夫婦ケンカでアラウディがAのところへ押しかけて来たこと。

ふたつめ、甘い言葉や話ばかりだったからそっくりな僕を直視できなかったこと。

みっつめ、元アニマルリングたちが家出をしたこと。

よっつめ、ボンゴレリングも家出をしたこと。

いつつめ、それらの原因はすべて僕たちにあったということ。

Aは話を続ける。

「ずっと、疲れて…寂しいって、言ってた。言わなくてもわかるよ、目を見たら…愛して欲しいって。
だから、一番仲が良さそうな山本くんのところが一番早く戻ると思ってたけど……恭弥が一番だったね。」

「ロール。君、本当に疲れただけでしょ。」

ロールはなにも言わない。
だけど、それぐらいわかる。
未来から、僕が大人になってもずっと一緒にいるんだから。

「ロール、言ってたよ。疲れてただけで、早く恭弥のとこに戻りたいって。また頭撫でて欲しいって。」

「…へぇ……」

思っていた以上に僕は好かれていたらしい。

「あのさ、未来でロールが間違えて恭弥のことを刺したって泣いてたの。」

「僕は気にしてないけど。」

「うん。ロールは自分が混乱しちゃって暴走したけど、恭弥の目は怒ってなかったって。他にもたくさん怖かったりする時も、優しくしてくれて、助けてくれる自慢の人って言ってたよ。」

嬉しそうにニコニコ笑うA。
VGからロールを出すと、擦り寄ってきた。
まったく、このふたりは…

「ロール、疲れたら僕にちゃんと言うように。」

「キュ…」

「君に無理をさせてまでVGを使いたいと思わない。だから疲れたり、辛かったら僕に言うこと。わかったね。」

そう言うと、ロールは元気よく「キュー！！」と笑った。
嬉しそうに笑ってるもうひとりにはデコピンをする。

「いきなり会えないとか、会いたくないとか言われた僕の気持ちわかる？」

「…ごめんなさい。」

本人もその場の勢いのようなものだったとはいえ、ひどく傷つけてしまった自覚はあるらしく、泣きながら謝り始めた。

「…ロール、悪いけど戻れる？」

ロールはひと鳴きすると、VGへ戻った。

「デーモン・スペードが言ってたの、驚いた。…君が僕以外のやつの目の前で泣くなんて。」

「自室だったから…」

「言い訳無用。」

さっきのことで余程反省したのか、大人しい。

「泣くのは僕の前だけだよ。」

そう言うと、彼女は小さく頷き、泣いた。