並中生徒会長、だった人の日常 (ページ28)

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言われるまでもないページ28

アラウディさんは「明日のお話は無しだよ。」と話した。

「急用ができた。」

それは、きっとフィニの傍に行くこと。
そう思うとすごく嬉しくなる。

「はい！行ってらっしゃいです！…フィニを、よろしくお願いします。」

「言われるまでもない。」

そう言ってアラウディさんは精神世界を出ていった。

朝起きると、今日は休日だと思い出す。
よく寝たなーと思うと同時に、たくさんの着信に気がつかなかった自分にも驚く。ちなみに携帯電話を必ずチェックするのは、恭弥に躾られた()からである。

とりあえず誰かわからないけど、適当に出る。
寝起きだから声はおかしいけど、まあ…許してくれるだろう。

「ぁい……も、し…もし……」

「『……寝起き弱すぎじゃない？心配なんだけど。』」

相手は恭弥だった。
恭弥からの話だと、守護者たちのVGが無くなったことに騒いでいる…らしい。
もし今襲われたら一発でお終いだろう。

「んー…と、リングの、こと…？」

「『違う。Aのも無くなってるの。』」

頑張って「あるよ…」と話すと、「『今家？』」と聞かれた。ま、まさか…

「ま、まだ…待って……」

「『嫌だ。』」

大体の時は待ってくれるのに、何故か引き下がらない。
これはまずい。

「『会えないんじゃなくて、会いたくないだとしても、僕はAに会いたい。』」

…こういうまっすぐすぎるとこ、本当に、この人は…

「部屋。私の。」

「『そ。』」

そう言ったが数分後、私の部屋の扉が開けられた。
そこには、アラウディさんにそっくりすぎる…恭弥がいる。
でも、違うんだ。恭弥は恭弥で、アラウディさんじゃない。
恥ずかしい。そんなワガママで恭弥を傷つけてしまった自分が嫌になる。

「きょう、やぁ…」

「…今度は何があったの。」

じわじわと溢れる涙に恭弥はハンカチを出し、優しく背中をさする。

私はただただ「ごめんね」「会いたかった」「寂しかった」と電話で言っていたことの正反対を言うだけだった。

恭弥は恭弥で、アラウディさんはアラウディさんなのに、似てるから恥ずかしいなんて…ひどすぎる。

ひどいことを言った相手に、恭弥は静かにその言葉を聞いてくれていた。

「大丈夫？」

「ん。」

頷く。…恭弥の手を握りながら。

「あのね、恭弥…実は……」

私はアラウディさんのことからすべてを話した。