並中生徒会長、だった人の日常 (ページ26)

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新たな来客ページ26

アラウディさんに自分の正直に心のままに話す。

「私はノロケ話は聞けども、愛の言葉は聞きたくない。」

「なんで？」

「自分の大好きな人が、他の人にそういうことを言っているのが嫌だ。」

もし恭弥が練習台と称して他の人に言っていたとして…私は嫌だ。
アラウディさんは数度目をぱちぱちとさせると、口を開く。

「なら、君の言うノロケ話は聞いてくれる…てことだよね。」

「はい。ノロケ話…とひどいことを言いましたが、それは幸せな話ですので。幸せを語られて嫌な人はいないと思いますよ？」

「言質は取ったよ。」

「……はい？」

そこからは、甘すぎる恋の話に私がただただ赤面するだけだった。
休憩時間をもらおうにも、「『幸せを語られて嫌な人はいない』んだろう？」と本当に言質を取られた。甘すぎるから勘弁してほしい。

アラウディさんの気が済んだのか、話は終わった。

「また明日ね。」

「……え！？」

これが明日も続くのか。
そう思いながらも、当の本人は静かにコーヒーを飲んでいた。
おそらく、アニマルたちと遊んでこい、という意味だろう。優しさが不器用の塊で、どうも恭弥と重ねてしまう。

そしてみんなと遊んでいると…

「ん？…え？」

新たな来客、ボンゴレリング。

つまりみんなは丸腰……
そう心配するも、それはリングの意思を完全に無視しているということに気づく。最低な人間だなぁ…私。

「君たちもいつも頑張ってるのに…ごめんね。道具みたいに扱って……」

申し訳なさと、罪悪感が涙となり目から零れる。
こんなにもいつも頑張ってくれてるのに、『道具として』…必要な時に『使う』。

それがどうしても…昔の自分と同じに見えた。

訓練して、訓練して、訓練して…ただ『使われるだけ』。
そんなあったであろう、いつかの自分。

温もりが欲しかった。

優しくして欲しかった。

……愛して、欲しかった。

ただ、それだけ。

「ごめん…ごめんね……」

いきなり泣き出した私を周囲が心配する。
私にそんな資格もなにもないというのに。

「なにがしたいの、君。」

それはこの重い空気を変えるのには十分だった。

「…昔の自分と…重ねて、しまって……」

「僕は君の感想ではなく、目的。やるべき事を聞いてる。」

本当に、あなたたちそっくりすぎて…もう、私も色々限界だよ。
…重ねないようにすることが。

「愛して、あげたい。」

「ならそうすれば。」

アラウディさんはコーヒーを淹れ、椅子に座った。