並中生徒会長、だった人の日常 (ページ21)

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ピアスの意味ページ21

それはとても、いきなりだった。

「耳。」

「ん？」

恭弥のその手には、ピアッサー。
ピアスの穴を開けるやつだ。

「…つけたいの？ピアス。」

「うん。片方だけね。」

既に恭弥の左耳には穴が空いていた。
本当に手が早い。

ピアスをつけるのは別にいい。
けど、穴を開けるのは、まあ…不安。

「や、優しく…ね？」

「固くならない方がいいらしいよ。」

「ええ……」

私が脱力した一瞬を狙って、恭弥がピアスの穴を開けた。流石だ。

痛くなりにくいように工夫したりとなにやらやってくれていた。私にはまったくわからないけども。

「…よし。」

「満足？」

「…うん。」

数日後にはコレをつけるようにとピアスが片方だけ送られてきた。
そしてそれから色々と女の子たちから視線が集まるようになった。

「いきなりピアスの穴開けてきたんだけど…なんでだと思う？」

再び女子会にて、その話をすると京子ちゃんとクロームちゃんは頭を悩ませる。
しかしハルちゃんはわかったようだった。

「それ…右耳じゃないですか！！」

穴を空けて、つけるようにピアスを送られてきたのは右耳だけ。

「ピアスには意味があるんですよ！」

「ピアスの意味？」

「なに？」

「はい！左耳が『守る人』、右耳が『守られる人』っていう意味があって……雲雀さんは、Aちゃんを守るっていう、意味で……」

悲鳴(黄色)が飛ぶ。
右耳……守られる、人？

島でのスペードとの戦い…恭弥は幻覚世界へ。
主な戦闘は私。

イエーガーとの戦い…恭弥は倒れてた。
主な戦闘はアルマ。

……どちらかというと、私が左耳(守る人)な気がする。

「でも、それだけ想われてるってことだよね。」

「そう、なのかな？」

いまいち実感が湧かないでいると、クロームちゃんがぽつりと呟く。

「……マーキング？」

「「それ！」」

「なんで？」

「最近告白してくる人に困ってたからじゃないかな。」

「左耳だけなら、誰か付き合ってる人がいるかもって思いますしね！」

たしかに最近告白する人への断り方について悩んでたり、どうすればいいのか相談とかしたけど…

「じゃあ、今度お礼言わないとね。」

「なんてですか！？」

女子、勢い、すごい。

「ピアスくれてありがとう…じゃ、ダメかな？」

「うーん、もう一声！」

もう一声とは。

「恭弥、ピアスくれてありがとう…てこと？」

「「きゃー！」」

「ひゃ…」

女子、まったく、わからぬ。