並中生徒会長、だった人の日常 (ページ19)

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初恋ページ19

綱吉side

ハルたちから女子会がとても盛り上がったと聞いた。

「特に、Aちゃんの恋物語がすっごくキュンてしたんです！」

「うん！すっごく楽しかったね！」

「え。」

Aが、恋？
恋物語って、恋のお話だ、よね？

「私も初恋はあんな感じにキュンキュンしたいなー」

「は、初恋！？Aが！？」

「……なにが。」

後ろを振り向いたら、多分、咬み殺されるんじゃなくて、殺される……
ブリキのように後ろを見ると、とても不機嫌な雲雀さんがいた。

「Aの初恋ってなに。」

「え、えーっと…」

「でもあの恋物語、すっごくキュンキュンしましたよねー！！」

「うん！！すっごくキュンキュンした！！」

「で、なに。」

「え、と…オレは、知らなくて…その……」

雲雀さんはオレから興味を失くしたようにプイッとそっぽを向く。

「……雲雀、さん？」

「本人に聞くからいい。」

「なっ！？」

スタスタと歩いていく雲雀さんはそのまま姿を消した。
オレは急いで山本と獄寺くんに電話をかけた。

急いで集まってほしい、ということと、Aがヤバい、ということを。

「どうしたんすか！10代目！」

「Aが女子会で恋物語を話したらしくて…」

「雲雀じゃないヤツに！？」

「…で、雲雀はどこ行ったんだ？」

「……本人のとこに行くって……」

「「ヤベェ！！！」」

そうしてオレらは急いでAの元へ走った。

？？side

並盛にある、Aの家。
合鍵を使って扉を開けると、ソファーにAが座っていた。その手には小説。本でも読んでいたのだろう。
のんきに「おかえり。」と顔を上げるA。
一瞬絆されそうになるが、そうじゃない。

「さっき聞いたんだけど、初恋って誰。」

「恭弥の口から初恋なんて出たのがびっくりしてる。まず座ろう？」

ソファーの空いてる方をぽんぽんと叩く。
その場所に座り、さっきの話を聞く。

「で、初恋ってなに。」

「……概念について聞いてる？」

「女子がAの恋物語にキュンキュンしたって言ってた。」

「ごっ、めん…笑って、いい…？きゅ、ん…きゅ、ん…て……」

僕が真剣に言っているのに、本人はまったく真剣味がないのがムカつく。

「で、相手は誰。」

僕が聞いたその時、扉が空いた。
鍵をかけ忘れてたことを思い出す。

そして彼女はそれを口にした。

「アラウディ。」

それは、初代雲の守護者の名前だった。