並中生徒会長、だった人の日常 (ページ17)

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『カナシイ』恋の物語 2 ページ17

「彼女の親友は言いました。

『まさか、元奴隷の子と自由なトップを好きになるなんてね。』

それはどんな言葉よりも彼女の心へ刺さりました。
彼女はそのまま走り去りました。

けれど、違うのです。本当は親友はそれで終わりじゃなかった。

『でも、元奴隷であろうと、なんだろうと、私の親友はアンタなんだから。私は精一杯応援するよ。』

そう、言いたかったのです。」

「は、花……」
「花ちゃん……」
「花…さん……」
「涙、拭こっか。」

「少年は少女がいなくなった日、違和感を持ちました。
彼にとっても彼女がいるのが当たり前になっていたからです。」

「うう……」
「ハルちゃん、これで拭いて。」
「泣かないで…」
「ふたりとも…サンキューです……」

「一日目は風邪かと思いました。
二日目は風邪をこじらせているのかと思いました。
三日目は…もう、待てませんでした。

それほどまでに、彼にとって彼女は大切な存在になっていたのです。」

「ひっく……京子ちゃん、どーぞです…」
「うん……」
「……どうぞ…」
「クロームちゃんも、どうぞ。」

「彼女は悪い人に騙されて、奴隷としてまた捕まってしまいました。
それは彼女の職場の人ではない人。ですので、誰も彼女がいなくなったことに疑問は持っても、理由はわかりません。

冷たい鉄の枷をつけられて、鉄の檻に入れられた時。
彼女は自分が奴隷だということを再確認したかのように、諦めてしまいました。」

「「「諦めないで！」」」

「その時、彼女は彼への想いが『恋』という感情だと、今更ながらに気づきました。
しかし奴隷の自分が、あんな綺麗なかっこいい人を好きになってもいいのかと、自己嫌悪もしてしまいましたが。」

「人を好きになるのは自由です！」
「好きでいいんだよ！」
「好き…は、大切。」

「3人とも。これは『カナシイ』恋の物語だよ？」
「「「いやー！」」」

「冷たく、寂しい檻の中。
彼女は恋心を希望に生きる決意をしました。
彼がいれば、どんな場所でも暖かく、優しいのに。
そう涙を流して…」

「お、おし、おしまい…ですか…？」
「おしまいじゃないよね！？ねえ！」
「やめないで…」

「彼女が奴隷として捕まって数時間後、その檻は壊されました。
その檻を壊し、彼女の枷を取ったのは……彼でした。」

「やりましたー！」
「やったー！」
「……よかっ、た…」

「注意、これはとても『カナシイ』物語だよ？」

「「「あ。」」」