並中生徒会長、だった人の日常 (ページ16)

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『カナシイ』恋の物語 1 ページ16

女子会にて、女の子がひとり増えて、クロームちゃんも増えた。

前日の恭弥のことを話すと、悲鳴(黄色…らしい)が聞こえた。

「いいですね！！やっぱり！！」

「うん！！恋バナってドキドキするよね！！」

「なんか…すごい……」

クロームちゃんも女の子だね、と思いながらひとつ思い出す。

「恋バナ…ね。…じゃあ、とびきりの恋バナを話そうか。」

3人はピタッと固まる。

「えーと…それって、雲雀さん…じゃない、人…だよ、ね？」

「……大丈夫、です、か？」

「……いい、の？」

「え、うん。これ私じゃないし。」

恐る恐るといった3人が、私の言葉で「ふぅ…」と安心する。
なにかあったのかな…相談なら乗るのに。

「じゃあ、恋バナ！お願いします！」

「それじゃあ話させてもらうね。

これは、ひとりの少女の、とっても『カナシイ』恋の物語……」

「「「え。」」」

・

「少女は、奴隷でした。

ですが、とある人たちに助けてもらい、奴隷ではなくなりました。」

「い、いきなりヘビーですね…」
「ど、れい…」
「……続けて。」
「うん。」

「少女はどこにも行けず、とある人たちに保護されることとなりました。
『なんでも頼ってくれ』『大丈夫、誰も君を傷つけない』そう、優しい言葉をかけてくれました。

けれど、彼女にはそれが『怖かった』。

彼女は、『無償のなにか』なんて、もらったことがなかったから。」

「…これ…わかる……」
「クロームちゃん…」
「でも、今は…もう、大丈夫、だよ？」
「「クロームちゃん！！」」
「よかったね。」

「その中でひとりの少年が言いました。
『君、仕事できる？』と。
彼女は直ぐにその仕事を手伝いました。

仕事の出来が予想以上だった彼は、彼女を自分の部署に置くことにしました。
彼は組織のトップだったので、発言力が強かったのです。

ひとりが好きでいつもひとりでいた彼に、彼女が着いていく姿が当たり前となりました。」

「もしかして……」
「もしかしてですよ…！」
「……ドキドキ、する…」
「さて、どうだろうね？」

「しかしある日彼女は奴隷だったことがみんなにバレてしまいました。

その日から少女は街の人から罵詈雑言を受け、段々と自分に自信をなくしていきました。

彼女は自分が奴隷だと、彼を追いかける資格がないと思い出しました。

彼女が彼を追いかける姿は段々と、なくなっていきました。」

物語は、続く…