並中生徒会長、だった人の日常 (ページ12)

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『同級生』っていいよねページ12

一から十まで説明。

何度言われたことか、数え切れないけど、少なくとも三桁はいってると思う。

この前の会食だってそう。
骸くんや、ベルフェゴールくんに特別嫌味とかを言ったわけじゃない。
けど、なぜか勘違いされる。

「なんで勘違いされるんだろうね。謎。」

「僕は君の言動すべてが謎なんだけど。」

「そう？」

「そう。」

恭弥はいつの間にか『大人』になっていたようで、久しぶりに会いに行くとスーツを着ていた。
いつもの学ランじゃない、大人になっていた。

「恭弥が勝手に『大人』になってたのは驚いた。」

「どこかの誰かさんも『勝手に』大人になってたでしょ。」

「あーえーっと……すいません。」

わかればいい、と「ふん。」と言ったり、『勝手に』を強調する当たり、かなり気にしていたんだなと思う。
あの時は自由だということしか考えていなかったから…恭弥のことを考えていなかった。

…今思えばかなりひどいことをしていたと思う。

けど、なにかをピンッと思い出す。

「ねえ、恭弥。恭弥はもう『大人』？」

「…見ればわかるでしょ。…なにがあったの。」

私の言動を理解している恭弥が怪訝そうな顔でこちらを見る。

「それ、昔から変わらないよね。」

「さっさと吐け。」

「……うん。あのさ、私も恭弥も『大人』でしょ？」

だから何、と腕を組む姿も懐かしい。
『こども』の時、よくやってたからね。

「でももう私たちは『大人になった』。」

「……」

「でもね、『生きてるよ』。」

言葉の意味を理解した恭弥が私を抱きしめる。
それに私も抱きしめ返す。
これでおあいこ。

「アホすぎ。」

「よく言われた。解せぬ。」

「うるさい。わかれ。」

10年後…未来の私は死んだ。
けど、今触れている私は死人のような冷たさはなく、むしろこども体温のように暖かいだろう。

こどものように、たくさん自由に生きてるんだから。

「やっぱり私は最善策を作るのが上手いなぁ…自画自賛しとく。」

「勝手にやってなよ。」

ふたりで身体を離すと、ふたりで横になると、ふたりで手を繋ぐ。
おやすみ3秒の恭弥に、相変わらずだなぁと笑うと、草壁くんがこちらを見ていて驚いていた。

もしかして……

「…草壁くん、同級生いないの？」

「え、いや…いま、す…？」

疑問形なのが気になったけど、居るならいい。

「……『同級生』っていいよね。」

「……………そう、ですね…」

草壁くんは力なく笑っていた。