並中生徒会長の日常 3 (ページ46)

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並中生徒会長の異常 46 ページ46

雲雀side

Aがまた勝手に死のうとしている。

そのことに怒りを感じながらも、本人が余裕なことから違和感を持つ。

「君、まだ死にたいの。」

「まさか。恭弥にはまだまだ長生きしてもらいたいからね。生きる覚悟はしたけれど、死ぬ気はないよ。それに今回は本当にとばっちりだ。」

『いつも通り』に答えるA。
そこにはなんの嘘もなかった。

「じゃあなんで呪いを解けるかもしれないのに断ったの。」

「今回は最善策も最悪策も何一つない。次いでに言うと、ボクは相手と初対面で相手もボクとは初対面だ。」

「だからなに。」

「ボクは保留と言った。そしてチェッカーフェイス、呪いをかけた男はそれを許可した。
おかしくないか？
一番アルコバレーノに貢献した者と言っていたけれど、ボクはアルコバレーノになって1年も経っていない。アルコバレーノに全く貢献していない者に対してその反応は甘すぎる。そもそもボクは最初、不参加と言ったのに引き止めたのも甘い。」

「は？なんで参加しないの。」

参加希望すらしなかったことに苛立つが、「続きはあるから。」と宥められた。
…というか、なんで僕が宥められないといけないの。
「相手を試しただけだよ。」と話す。

「アレは強いよ。アルコバレーノやらボクの知っている強い人たち全員がかかっても勝てない。…そうだね、格が違う、というより次元が違う、というものかな。」

「初対面なのに、そんなのわかるの？」

「初対面だからこそだよ。なんの情報もなければ、先入観なく見ることができるからね。」

確かに理にかなっている。
いつもはアホすぎて、本当は頭がいいということを忘れていた。

いつもが本当のアホすぎるから。

ここだけは譲れない。

「死ぬな。」

勝手に、死ぬな。

「ボクだってこんなので死ぬのはごめんだよ。」とAがおどけたように話すが、本心だろう。
「それに。」と続ける。

「最善策も最悪策もなにひとつないけれど、手は打つことが出来る。」

「どういうこと。」

「代理による戦いが始まっても参加しないけれど、別の戦い方もあるということ。恭弥も誘われたら代理になるといい。」

Aがここまで積極的に戦いについて話すことは少ない。
「なんで。」と聞くと、「ボクの勘だけれど…」と言いAは笑う。

「絶対恭弥が楽しめる、そんな戦いになると思うから。」

僕はそれを聞くと、またAのベッドで眠りにつく。

退屈しない夢が見られそうだ。