並中生徒会長の日常 3 (ページ39)

今日:1 hit、昨日:36 hit、合計:6,759 hit

並中生徒会長の異常 39 ページ39

雲雀side

勝手に死のうとしていたアホを見つけ、トンファーを振ろうとしたが…Aは眠っていた。

赤ん坊とフクロウに憑依したアイツはなにかを知っているようだった。

「んじゃ、オレたちはAの騎士が来たから退散するか。」という赤ん坊の声にフクロウも飛んで行った。

よく寝顔は幼い、と言うがAの寝顔はもっと幼い。
こどもと同じぐらい幼い。
草壁を呼び、ヘリにAを乗せる。
抱き上げても全く反応しないのは、流石にマズイと思う。
座席に座らせたところでようやく目が覚めたようだった。

「…おはよ、恭弥。」

あまりに『いつも通り』のAに忘れそうになる言葉を言う。

「死ぬのは『同級生』の僕が許可してない。…だから、ダメだよ。」

そう言うと、Aは「…生きる、覚悟を…したんだ。」と呟くと涙を流し始めた。
それはあまりにも静かな涙。

話したのは、D・スペードの最後を。
本当の意味で自分と同じ理解者だということ。

……自分が、生きていくことを選択したのは…D・スペードのおかげだと。

泣きながら、ぽつりぽつりと話した。
僕はそれをただ静かに聞いていた。

「だから、もう…自分が死ぬなんて選択は、選ばないよ。」

「当然だよこのアホ。…『同級生』を置いて死ぬな。」

「恭弥にはまだまだ生きて欲しいから、まだまだ死ねないね。」

「当たり前でしょ。」

自分が死ぬなんて選択なんて、ある方がおかしいんだから。
いくら昔に死に慣れたからといっても、死んでもいいなんてことは『同級生』の僕が許さない。

「あと、Aが勝手に捨てセリフみたいに言ってた、ごめんと大好きだけどさ。まず、ごめんは許さない。」

その言葉に申し訳なさからか、すこし小さくなる。

「次に大好きは、僕もだから。」

「ん？」

「僕も大好きだから。」

？？side

委員長の呼ばれたままにヘリコプターに乗りつけた、が。

「次に大好きは、僕もだから。」

一瞬驚きすぎて運転をミスってしまうところだったが、なんとか持ち直す。
空野さんが聞き直すと、ストレートに言い直した委員長に、自分がここにいてもいいのか、という疑問が出始めた。
運転するために必要な自分が降りてはいけないのだが、空気がものを言う。

すると空野さんが「そうか。」と『いつも通り』の声で答える。

「では…

『同級生』だね。」

「そう、『同級生』。」

誰かこの人たちに『同級生とはなにか』と教えて欲しいと思った。