並中生徒会長の日常 3 (ページ14)

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並中生徒会長の異常 14 ページ14

アーデルハイトside

工場跡地へ向かう。

今朝のボンゴレのボス、沢田綱吉は何事も無かったかのように登校していた。
これで炎真も目が覚めるだろう。

しかし、誰も来ないはずの場所には、

「古里。鈴木くんが来てくれたよ。」

ボンゴレの、風の守護者がいた。

まさか、自分の代わりに守護者を行かせたというのか。
そう考えていると「鈴木くん。」とこちらへ歩いてきた。

リングを灯そうとした時、「古里を粛清しないでおくれ。」と言われた。

「彼は…悩みがあるようなんだ。今日登校しなかったのも、それが原因かもしれない。だから、古里を見逃してやってくれないか。」

それは、炎真を心配するものだった。
そしてそれは続く。

「古里が誰かに会えるまで。誰かが来てくれるまで、ボクは傍にいると彼と話したんだ。ボクでは役不足だが…君は、どうか古里の傍にいてあげてほしい。」

私はその言葉に頷いた。
そして、聞いた。

「貴方は、風の守護者だから、ここへ…？」

「そんな話は聞いてないが…ボクは生徒会長だ。生徒のサボりを見つけるのもそうだが、元気のない生徒に寄り添うことも生徒会長の務めだろう。」

「…炎真がサボりだと思わないのですか。」

「古里は毎日登校しているよ。犬に噛まれようとも、必死にね。そんな古里がサボりだなんて考えるわけがないだろう。ましてやこんな工場跡地にひとりきりなんて…」

A生徒会長は、炎真のことを信じているようだった。
どこまで知っているのか、とヒヤリと汗が流れる。

「ボクは家庭内についてまでは、余程のことがない限りは聞かないよ。…けれど、学校や並盛でのことなら知っているよ。」

「たとえば？」

「古里は臆病だ。あまりに、優しすぎる。」

その言葉に睨みつける。
炎真は確かに臆病だが、だからこそあのシモンの証を手に取って戦っている。

「けれど、瞳には信念を持てる強さがある。」

「…なにを仰りたいのですか。」

「臆病だけれども、優しく、その眼は強い。けれど、古里も人間で、疲れる時もある。

……そんな彼を支えてあげておくれ。」

彼女は初めから『炎真』を見ていてくれた。
彼女は「またね、古里。鈴木くん。」と手を振っていた。

炎真は彼女からもらったであろう、ハンカチを握りしめていた。

「アーデルハイト。風の守護者は、空野Aだけは…」

「ええ。必ずボンゴレから解放しましょう。」

彼女は、シモンファミリーが保護しよう、そう決めた。