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天才じゃない31 ページ30

研磨side



「っ!!」


他の学校とも一緒にやるけど、みんな梟谷のエースのダメージが大きい。
いつもよりレシーブが雑になってきていて、俺も結構動くことが増えた。


「クロ。」

「おう。」


跳ぶと見せかけて、跳ばない。
それに引っかかったブロッカーが着地する時、クロのスパイクが決まる。
これは昔から練習していた、みんなからはマイナーと呼ばれる、『1人時間差』。
クロが『なんかかっこいいから。』という理由で始めた技。

それがきれいに決まる。


「虎。」

「おうっ!!」


「福永。」

「……。」


「クロ。」

「おう。」


みんなのスパイクが決まる。

自分の攻撃、ツーが決まる。


でも、自分の攻撃より、みんなの攻撃が決まった方がうれしいって思うのは、何でだろ。


「虎。」

「っしゃぁ!!」


なんでだろ。


負けたら、罰ゲームもあるのに。


「キッツ……。」

「うぉぉぉぉ!!!」

「今だけは山本のガッツが羨ましいわ……。」


辛いのに。


「研磨頑張れー!!」

「あとちょっとだぞー!!」


苦しいのに。


「よくやった!研磨!」

「お疲れ様。」

「……つか、れ、た…。」

「あ、溶けた。」


なんでこんなのが『楽しい』って、達成感があるんだろ。

スポドリを飲もうとするも、そこにスポドリはなかった。
そういえばいつもAに頼ってたな、と実感する。


「……今日、A…いない…から…。」

「あー、スポドリいっつも作ってくれてたからなー。甘え過ぎてたな。」

「では自分たちで作りましょうか。」


自分たちで作るスポドリは、


「うわ…不味いんだけど……?」

「俺も失敗したわ。」

「…美味く作れた。」


不味い人が多かったみたいだけれど、


「うげ…味濃すぎた。」

「目分量を間違えずに作ると大丈夫だよ。」

「それが難しいんだよなぁ…。」


それも、『楽しい』と思えた俺は、


「研磨、お前どう?」

「それなりに、美味しい。」


意外と、クロに負けず劣らずの、バレー馬鹿なのかもしれない。

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作者名:ドク | 作成日時:2022年8月5日 17時

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