天才じゃない30 ページ29
研磨side
クロの目が…すごく悪い目になっている。
『あ、この人単細胞だ。』って察して、取り込もうとしてる目だ。
まあそんなこと、あの梟谷のセッターは見抜いているんだろうけど。
「どうも、副主将の赤葦京治です。よろしくお願いします。」
牽制のように副主将のセッターがやって来る。
クロはそろそろわかる頃だと思うけど、この人、完全に『食えない人』だから。
「よろしくお願いします。」と言ったクロの目が焦ってるように見えた。
だからやめといた方がよかったのに、と心の中で愚痴をこぼす。
でも、さっきのスパイク、本当にすごかった。
俺なら絶対に受けたくない。
受けたら折れる。うん、折れる。
これからブロック跳ぶみんな大変そうだな、と思いながらも、少しだけ、ほんの少しだけ楽しそうに見えた。
どんなに相手が強くても、勝てないと思っても。
それでも、止まらないのが俺らだから。
「そんじゃ、俺らともよろしくお願いします。」
「おう!」
コートに入る。
真っ赤なユニフォームが、血液となって、俺にボールが送られる。
俺はみんなの『背骨』で、『脳』で、『心臓』だから。
この人たちだって、攻略してみせる。
らしくもない自分に驚くことなんてない。
だってバレーは『6人でやるゲーム』だから。
俺のいつもやってるゲームより体力使うし、疲れるし、デメリットばかりのはずなのに、
「おい研磨!来い!」
「うん、ちょっと待ってて。」
チームメイトに名前を呼ばれたりするだけで嬉しくなったりする俺は、意外と単純なのかもしれない。
だから、全力で、全員を、
「攻略してみせる。」
そう思えるんだ。
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作者名:ドク | 作成日時:2022年8月5日 17時