俺らの幼なじみは天才じゃない (ページ25)

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天才じゃない26 ページ25

黒尾side

「お前ら何してたの？」

「抱っこ。」

「座ってた。」

「いやそうじゃなくてね？？てかずっと？」

「「うん。」」

「マジかぁ…。」

少し練習して、すぐ合流する予定だったのにふたりが居なくて少し焦った。
Aのゆっくりペースだっから追いつけると思ってたから。

そして家に着くも、Aはまだ帰ってきてないと聞く。

これは本当に焦った。
この前人質になったばかりのふたりだ、余計に焦った。

そして繋がったスマホは「今研磨と一緒にいるよ。」「膝の上乗ってる。」という平和的な会話。

「いやホント、俺の心配返して？」

「それはごめん。連絡してなかった。」

研磨がAに何かゴニョニョと話す。
するとAがポカーンとした後、急に顔が赤くなる。
何？また何か俺怒らせたの！？

研磨に抱っこされたまま、Aが口を開く。

「て、鉄にぃ。心配かけて、ごめん。あと、ありがと。あと…あ、と……」

「？？」

「いつも、ありがと。…ぃ……ょ。」

何かをゴニョニョ言ってるAを研磨が「頑張って。」と応援している。

Aが謝るのは珍しいことではないし、むしろ俺が謝る方が少ない。
だから謝ることに対してAが恥ずかしいという意味で応援されることはない。

「なんかわかんねぇけど、言いたいならさっさと言えばいいだろ。」

俺の言葉にAの目付きが変わる。
研磨が「クロの馬鹿…。」と呟く。
それもそうか、と納得。
Aほどじゃないが、幼なじみの目ぐらいわかる。

これ…ヤベェ目だ。

「…そう。じゃあハッキリ言わせてもらうから。」

「…はい。」

圧が、すごい。

「鉄にぃ、好き。」

「はい？」

今、なんて言いましたか、この人。

「研磨も鉄にぃもママもパパも大好き！！すごく大切な人たちなんだよ！！今日鉄にぃから逃げたのは、人生で初めて『自分自身に対しての』好きを言われたから！！恥ずかしくなったんだよ！！

私はさぁ、いっつも迷惑ばっかかけてるし、みんなに何にも返せてないって自覚もある分、余計に『好き』って言えないんだよ！！
そもそも言ったことも言われたこともなかったから、『好き』もよくわからなかったし！！
初めての『好き』にテンパったんだよ！！

でもこれからは好きなものには好きって言うし、嫌いなものは……言えないけど、どんどん言ってくからな！！」

「なんか文句あるか！！」という妹の言葉に兄は「ナイデス。」と答えたのだった。