天才じゃない25 ページ24
「…ほぁ?」
「おはよ。」
「どういう、状況??」
さっきまで私たちは歩いていたはずだ。
墓場まで持ってこうとしたものを研磨に話して、そこから…その……『私自身を好き』って、言われ、て…。
そこから、何した?
「……ヤバい、記憶が全くない。研磨、私また気絶したの…?てことは外で気絶するわけにもいかないからここまで、運んで、くれ、て……。ごめん、手間かけた。」
ああ、また迷惑ばかりかけている。
私を膝に、胡座の真ん中に置く研磨は「別に。」と言った。
いや、『言ってくれた』のだろう。
研磨はすごく、優しいから。
「Aが思ってる以上にこっちは迷惑だって思ってないし、どちらかというとクロの方がすごく迷惑かかって困ってる。A軽いし。……ホントご飯食べてる?」
「食べてるし、気分的な問題で毎朝牛乳も飲んでる!この前この前2mm伸びたし!」
「……それって伸びたうちに入るの?」
「入る!」
また、いつものペースに誤魔化されてしまっている。
だからいつも『ごめんなさい』が言えないんだよ。
「ねえ。」と研磨が声をかける。
「Aって、俺らのこと好き?」
「…大事だし、大切だよ。じゃなきゃ強盗の時だって命張らないし…守りたいから。」
「うん。あれはまだ怒ってるけど、気持ちはわかった。でもAから『好き』って聞いたことないなって。ちなみに俺らはAのこと、好きだよ。」
「…馬鹿だから、そーゆーの…ほんとに困る。……生きる価値、ないのに。」
「ある。俺ら3人でひとつだから、ひとり欠けたらすごい困るし、俺はAと一緒に居たい。もちろんクロもね。」
なんで。
なんで研磨は、私が欲しい言葉ばかり言ってくれるのだろうか。
生きてる価値が、存在意義が、生きたいっていう欲が、できてしまうじゃないか。
「Aは?」と問いかけられる。
それはさっきの答えじゃ足りないということを表していて。
「……言っても、いいのか、わかんない、から…言えない。」
「俺が聞きたいから言って?」
本当に研磨はズルい。
臆病者な私は研磨の制服の端を掴む。
少しでも勇気が出るように。
「…だ、大好きだよ!!バカ!!!」
「うん。…すごく、嬉しい。」
研磨が笑ってくれたから。
少しだけ、『好き』が言えるようになれた、気がした。
「…ここから降りる?」
「…別に。嫌い、じゃないし。」
「そ。…じゃあクロが迎えに来るまでここにいよっか。」
「うん。」
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作者名:ドク | 作成日時:2022年8月5日 17時