俺らの幼なじみは天才じゃない (ページ17)

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天才じゃない18 ページ17

研磨side

段々と警察が集まってくる。
これが助かるのか、それとも犯人を刺激してしまうのか。

静かにする。

それが安全を守られるルール。

「……おじさん。おじさんは誰に脅されて強盗なんてやってるの？」

「は。」

Aは、何を言ってるの。
男の目が揺れる。
それは明らかに同様していて。

「おじさん、悪い人じゃないよね。さっきから私たちに銃向ける時、すごく悲しくて辛い目してた。」

「…黙れ。」

「人質を私だけにしたのもおかしいよ。たくさんいた方がいいのに。順に出ていくなんて変な指示も出してさ。」

「黙れ。」

「こどもが泣いた時、うるさいって言ってたけどすごく辛そうだったし、順に出ていけってこどもが巻き込まれてケガしないようにっていうやつだよね。」

「黙れっ！！」

「うっ！！」

「A！！！」

Aが男に胸ぐらを掴み上げられる。

Aは苦しそうに男の手を叩く。

やばい。

やばいやばいやばいやばいやばい。

どうすれぱいい。

Aの涙が落ちる。

そして、小さな身体から言葉が絞り出される。

「…おじ、さ、ん…死な、ない、で。」

「…あ……。」

男の手が緩んだ瞬間に男からAを奪い取る。
男に背を向けて固くAを抱きしめる。

男が意味不明な言葉を言いながら崩れ落ちる音がした。

「…おじさん、死のうとしてるでしょ。」

「だ、まれ。」

「こんなに苦しんでる人がいるのに、悲しんでる人がいるのに、大人の対応なんて出来る頭のいい子じゃないから黙るなんてできないよ。私、馬鹿だから、わかんない。」

男の方を見ると、力なく銃を俺らに向けていた。

「A、お願いだから黙って……！！もういいから！！」

「大丈夫だよ、研磨。『研磨は私が守るから』、ね。」

その言葉に呼吸が止まる俺に、動きが止まったチャンスと俺の腕から出ていくA。

「おじさん、死にたいよね。生きてていいのか、死んだ方がいいのか、わかんなくなるよね。」

「お前に…お前に何がわかるっ！！！」

もういいから。

俺の為なんかに、命なんて張らなくていいから。

だから、お願いだから。

死なないで。

「わかるよ。

だって私も同じ目をしてるから。」

「う、ぁ……ぁぁ…ぅ…。」

男は完全に銃を手放した。