俺らの幼なじみは天才じゃない (ページ13)

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天才じゃない14 ページ13

研磨side

こんなことになるだなんて、誰が思うだろうか。

「順に出ていけ！！」

「うるせぇぞガキ！！」

本当に、ツイてない。

いや、ツイてなさすぎる。

「こいつの頭ぶっ飛ばしてやろうか！！」

「……。」

唐突な強盗犯はお断りです。

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予約したゲームを取りに行くだけだった。
ただそれにAが付いてきて、なんとなく、とは言ってたけど、多分散歩。
秋といってもまだ夏の暑さが残っていて。

「……ごめん、暑いからあそこのコンビニまで行ってもいい？」

「うん。先行ってて…って！？」

まさか自分が抱っこされるとは思っていなかったのだろう、Aの声が聞こえる。
流石にこの炎天下の中、幼なじみ(極小)を置いていくほど鬼じゃない。
驚いていた本人は「身長よ…伸びろ……。」と顔を覆っていたけど。

「ここで少し涼んでから。店まで向かおう。」と話して数分後。

「ひぃっ！！」「きゃー！！！」と誰かの悲鳴。

悲鳴の先には、黒のジャケットを着た大柄な……銃を持った男。

男は周りを見ると、真っ先に俺の胸ぐらを掴む。

「かはっ。」

それは虎と違う、大人の力。
そのまま銃を俺の頭に向ける。

「お前ら全員手を上げろ！！こいつの頭ぶっ飛ばすぞ！！」

……なんで俺、人質にされてるわけ？

そして時が経ち、その場に居た全員が順に外へ出ていった。

で、今に至る。

上手く呼吸が出来ない。

意味わかんない。

なんで俺がこうなってんの。

俺なんかやったっけ。

怖い。

嫌だ。

ただ、ゲームをAと取りに行こうとしただけなのに。

……Aは？

浅い呼吸をしながら周りを見るが、Aの姿は見えなかった。

よかった。

ちゃんと逃げられたんだ。

自分のことでいっぱいいっぱいで順に外へ出ていった人達を全員見ることは出来てなかったから。

呼吸すらきちんとできないぐらい、いっぱいいっぱいなのは今もなんだけど。

「うっせぇぞ！！」

「っぁ……はっ…はっ…はっ…はっ…。」

上手く呼吸が出来ないだけなのに。

ほんと、理不尽、すぎ、でしょ。

頭が痛い。

このまま、撃たれるの、かな。

そしたら、みんなーー

ガチャ、とトイレの扉が開く音がした。

嫌な汗が伝う。

違う人であってくれ。

頼むから。

「あれ？誰もいない。なんでだろ？研磨も外？」

それは、俺の幼なじみの声だった。