性別不明の歌い手は男性恐怖症でした。【さとみ君】

第８話 ページ10

「とりあえず、家まで送ろうか？」

　「あ、や、・・・すみません、お願いしてもいいですか？」

　「うん。」

　 途中で何かに巻き込まれたら嫌だからな。

　 俺達は店を出て、鏡花の家に向かった。

　「俺と同じマンションなんだけどｗｗ」

　「嘘・・・」

　 まさかの同じマンションだったって言うｗｗ

　 階は違うからあんまり会わないっていうのもあるな。

　「あ、じゃあ、こっちの方が近いよ。」

　「あ・・・」

　 鏡花は歩くのを止めた。

　 何か動揺した感じだった。

　「どうした？体調悪い？」

　「あ、の、こっちは、ちょっと・・・」

　 鏡花は泣きそうだった。

　 こっちの方で何かあったのだろうか？

　 とりあえず、俺は鏡花に嫌な思いをさせたくない。

　「分かった、じゃあこっちから行こ。」

　「すみません、色々言ってしまって。」

　「謝る事じゃないよ、俺がしたくてしてるんだから。」

　「っ！そうです、か・・・」

　 鏡花は軽く俯き、ニッコリと笑った。

　 俺の心臓は脈を打ち、ドクドク言っている。

　「・・・鏡花は笑った方が可愛いよ。」

　「そうでしょうか？」

　 肩ぐらいまでの髪を耳にかけた。

　 俺、どうしたんだろう。

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