よんろく ページ47
たった今、米森サトルが狼として処刑されているところだ。
モニターに写った彼は、必死に薬の山を食べている。
まだ死にたくない、とでも言うように。
あんな量の薬を一度に食べたら、処刑を免れてもきっと死ぬだろうに。
正直、情けない、としか思えなかった。
ふと、単なる知的好奇心で、琴乃の方を見てみる。
もしアイツが、マキさんが見つけたガラス片を注射器の破片だと気がつかなければ。
ユキナリがミホさんの左腕に腫れを見つけた時に、注射器で刺された跡だと気がつかなければ。
ミホさんは毒を打たれて死んだという推理に肯定しなければ。
狼は注射器を日常的に使い慣れている人物だ、と明言しなければ。
彼が睡眠薬を使ったことを明かさなければ。
意地の悪い言い方をすれば、アイツがそういった行動を取らなければ、彼は処刑を免れていたかもしれなかったのだ。
アイツが米森サトルを殺した、とも言えるのかもしれない。
自分が彼を追い詰めたということくらい、高校生の割には頭の切れるアイツなら分かっているはずだ。
そんな現状を前に、アイツは何を考えるのか。
ただ、少し、気になっただけ。
コウ「……………な、」
だからこそ、思わず、声が出てしまった。
それぐらい驚いた。
目の前の、椅子に座っている彼女は、
サトル「いやだ…!
いやだあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
モニターなんて、見ていなかったのだから。
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作者名:ハチミツころっけ | 作成日時:2024年3月15日 16時