さんご ページ36
多分、今日は運が悪かったんだと思う。
私はリビングに行こうとして、教室を出た。
廊下には、私のことを待っていてくれたであろうツンデレの新村コウくん。
そしてその新村くんと目が合った、私。
ここまではいい。
問題はここからだ。
問題は、さっきの状態で教室を出てしまったこと。
さっきの状態とは、私がびぇぇぇぇぇぇんってなっている状態のことである。尚、原因は未だ不明だ。
まぁ、それは置いといて。
つまり、わかりやすく言えば、
『あ。』
コウ「は？」
【新村くんに泣いてるとこ見られちゃったてへぺろ✩】と、いうことである。
目が合った瞬間顔どころか体全体で後ろを振り向いて涙を拭ったつもりだったが、まあ、目が合っている時点で手遅れというか。
ともかく、ばっちし見られていたようで。
コウ「なっ、お前…泣いてたのか？」
このままだとキャラ崩壊確定案件なので、はぐらかす事にした。
というか、はぐらかす以外の選択肢が無い。
『何を言っているのかな新村くん。
遂に頭だけじゃなくて眼までおかしくなったんじゃない？』
コウ「………分かった。」
『いや会話になってないよ？』
こいつ日本語わかんねぇのか、頭良さそうな見た目してる癖に。
なんだよ分かったって。何が分かったんだよ意味わかんねぇよ。
コウ「ほら、行くぞ。琴乃。」
『…うん。』
自分でもびっくりするぐらい素直な反応が出た。
この男の声掛けに応じてしまう辺り、私も大分、染められているのかも知れない。
それがいい事なのか悪い事なのかは、定かではないが。
リビングにつくと、私と新村くん以外の全員が揃っていた。
リツ「おい、お前らおせーぞ。
【2人きりで】、何やってたんだ？」
チエ「ま、まさか…。
は、ハレンチなことを…！？
な、ななな、何してるんですか！？こんな所で！」
チエちゃんは1人妄想に花を咲かせている模様。
私が言えた義理ではないが、呑気だな。
そしてリツちゃんに関しては、ニヤニヤしながらこっちを見てきている。
遅れたのは事実だが、「2人きりで」を強調して言うのはやめてほしい。切実に。
新村くんが可哀想だから。まじで。
と、言うことで、完全スルーすることにした。
『やっべ。
新村くんのせいで遅れたワー。』
コウ「確実にお前のせいだろ。」
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作者名：ハチミツころっけ | 作成日時：2024年3月15日 16時
