検索窓
今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:19,038 hit

黒猫1 ページ3

張り詰めた静けさの中、其の女は月を背に立っていた。




浮き上がるシルエットは妖しげな雰囲気を醸し出し、其処にいる皆は息を呑んだ。



恐ろしさと、美しさ故に。







静かな夜を打ち破るように彼女は言葉を発した。


綺麗で、何処か艶っぽくて、其れでいた済ました声が鼓膜を刺激する。







「皆様、そんな豆鉄砲じゃあ何時まで経っても私を仕留められませんわよ____もっと、本気でなさったら?」






くす々と云う笑い声が場を支配する。


其の笑い声は静かに、でも確かに私たちの気持ちを苛立たせた。






「如何なさったの?もうお遊戯はお仕舞い?ふふ、なら私から行かせて頂いても宜しくて?」







そう云う方が速いか、彼女が私の周りの部下の命を奪うのが速いか。





彼女が口を閉ざした頃に、私の付近にいた部下の3分の1は短刀が至る所に刺さり戦闘不能に陥っていた。


絶命も、時間の問題だ。







悠々と薄い笑みを浮かべる彼女を冷たい眼で見つめ、左手で指を指す。


其れを合図に部下が一斉に銃声を轟かせた。銃弾の雨、雨、雨。






「あら、そんな玩具効かないと教えて差し上げたのに…。嫌だわ、私莫迦は嫌いなの。」






彼女は血飛沫をあげて倒れるどころか、全てを避けた挙句私の部下の1人から銃を取り上げ、此方へ銃口を向けていた。





「私には効かないけれど、貴方達には効くのですよね?」







そう云い乍ら彼女は指に力を軽く入れ、的確に私の部下の命を奪っていった。



残すは私1人。






「嗚呼、此れは俗に云う絶体絶命ってやつかい?」




口角を吊り上げ乍ら私は銃口を彼女に向ける。

彼女もまた、私に銃口を向けていた。





私と彼女の一騎打ち________







くすりと彼女が笑みを零した刹那、『あの影』が月夜に舞った。


私は、此の時を待っていた。




衝撃音と共に土煙が舞い上がり、続いて荒々しい声。







「おい、手前。よくもマフィアの敷地を荒らしてくれたなァ?」

黒猫2→←紹介



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
72人がお気に入り
設定タグ:文スト , 太宰治 , 中原中也   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まるてん x他1人 | 作成日時:2018年8月2日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。