黒猫12 ページ14
暫く、といっても5日程だが黒猫の姿を見なくなった
勿論清々しているが、少し気にしてしまっている自分がいる。
太宰に訊ねても知るわけないと一蹴されてしまった。
まァ、当然だ。
「どーなっちまったんだろうなァ。」
真逆あんな大口叩いて死んでいたりなんかしたらそれこそお笑い草だ。あいつの死体の前で大爆笑してやる。
「何がそんなに気になっていらっしゃるの?」
耳触りのよい、なんとも言えない声が耳に届く。
それが誰の声なのか理解するのに数秒かかった。否、誰なのかは瞬時に理解出来たがそれを上手く脳で処理することが出来なかった。
「うわ!手前生きてたのか!てっきり死んだかと思ってたぜ!」
「うっふふ、面白いこと云うのね。あなた方二人に殺せなかった私がそんなにすぐ死ぬとお思い?」
それもそうだ、と納得する。
油断していたとはいえ俺(+太宰)を出し抜いたのだ。そんなにはやく死なれては困る。
「で、姿を見せなかったのはなんでだ?」
「あら、会えなくて寂しくて泣いてらしたの?御免なさいね、坊やを一人ぼっちで置いていってしまって」
よーしよし、と赤子をあやすように黒猫は俺の頭を撫でくすくすと笑う。
莫迦にすんな!と軽く蹴りをいれるがすっと避けられてしまった。軽い身のこなしだ。
「私が姿を消してたのは任務の為ですわ。貴方達がいないと任務出来ない訳じゃありませんの」
それより、と更に口を開く。1人でよく喋るアマだ。
「若し予定よりはやく任務が終わった場合如何なるのですか?」
「あー…大抵はその任務分は休暇になることが多いな。何日くらい余ったんだ?」
俺の問いかけにピンと指を1本立てて微笑む黒猫。なんだ、たったの一日か。それなら休みになるだろう。
「1ヶ月です」
「あー1ヶ月な…1ヶ月?!」
静かな廊下だが大声を出してしまう。煩い、とでも云わんばかりに顔を顰めて耳を塞ぐ黒猫。
「そもそも最初から任務予定日が長すぎると云ったのですけれどね」
「そりゃ大層なこった。何の任務だったんだ?」
「潜入ですわ。これが間諜して手に入れた情報。ご覧になりますか?」
ざっと20枚ほどの書類を手渡す黒猫。…その内容を見て驚いた。
今ヨコハマに新たに発足した異能テロ組織のアジト、構成員の名前に異能、今後の計画まで全てがきさいされていた。
「すげぇな手前…は?!」
顔をあげると黒猫の姿は無く、また俺が書類提出をさせられる羽目になった。
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あけおめです
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作者名:まるてん x他1人 | 作成日時:2018年8月2日 10時