CASE.2-1『面倒上司』 ページ8
「というわけだから♪」
「どういうわけでしょうか」
神崎くんの雑すぎるまとめに、一条ちゃんの鋭いツッコミが入る。
『そりゃまあ、誰でもそうなるでしょうよ』
いきなり上司と転職することになり、殉職した上司の妹のもとに転げ込む。
それだけでもかなり混乱するだろうけど、それを百歩譲って了承したとしても、よ。
「つまり神崎先輩は立花さん……と、お付き合いすると？」
これよ。
なぜそうなる。正直この件に関しては、私も根掘り葉掘り聞きたいところはあるけれど。
『ええと、その辺は大したことするつもりもないから置いといていいのよ』
「そうだよ。"まだ"僕が一方的に好きなだけだしね」
まだとはなんだ、あくまで気合は十分とでも言いたいのか。
「へぇ、先輩はストーカーに転職すると？」
「人聞き悪いなぁツバキちゃん……」
相変わらず、上司と部下にしては随分仲のいいことだ。この二人にも色々と事情があることは察せるが。
少なくとも私と神崎くんよりは一条ちゃんと神崎くんの方が親密だし、私はてっきり……
うーん、やっぱりよく分からないな。
神崎くんの思考が謎。それが狙いなのはわかるんだけど。
『……はぁ。とりあえず一条ちゃんの席はこっちで、神崎くんはそっちね』
私の案内に、一条ちゃんは「わかりました」とひとつ返事。いい子。
それに比べて彼女の上司ときたら。
「はあい……♪ところでAちゃん、その呼び方はなんとかならない？」
ほんと減らず口だな。嫌いじゃないけど。
『もっと砕いて話せって？』
「ツバキちゃんはともかく、僕達は同い年でしょ？もっと気軽に呼んでほしいな」
さすがの記憶力といったところか。そこは必要ない記憶だったけどね。
『……そうね。なら、二人が試験に無事合格したら考えるわ』
「試験、ですか？」
『ええ。身構えなくても、基礎的なものだから安心してね。同時に各分野の適性調査も、勝手にこっちでやらせてもらうから。それと』
追加の言葉と同時に向けられた私の視線に、一条ちゃんが首を傾げる。
『終わったら、一条ちゃんには立花さん呼びを卒業してもらうわ』
｢え｣と困惑した様子の一条ちゃんに、ひょうきんに笑う神崎くん。
正直もう結果は決まっているも同然だからね。
『先に言っておくけど、面倒な上司が二倍になるわよ。やめるなら今のうちだけど？』
その言葉に、"ツバキちゃん"と"ソウシロウくん"は対照的な反応をしてみせたのだった。
*
続く (更新停止中)
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Lito(プロフ) - 神作品に出会ってしまった…更新待ってます！続きをお恵みください……！！！ (2022年1月31日 17時) (
レス) @page8 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 神無雪。/くろめも@元uruhuさんさん» コメントありがとうございます。わかります〜;;そんな風に言っていただけて嬉しいです！頑張って完成させたいと思いますので、これからよろしくお願いします……！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
神無雪。/くろめも@元uruhuさん(プロフ) - 神崎ソウシロウさんの作品ちょっと少ないので読んでて楽しいです (2020年11月13日 6時) (レス) id: 18e59d97df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぴら | 作成日時：2020年11月13日 4時
