CASE.1-5「変わり者同志」 ページ7
一言で表すと、彼女に興味を持ってもらうことが重要だった。
だからって、ただの知人から突然｢彼女になってほしい｣なんて言われたら、下手すると恐怖してもおかしくないんだけどね。
もちろん相手がどこにでもいる普通の女性だったなら、さすがに僕もこんなこと言わないよ。
なら、一体どういうつもりか。
『驚いちゃったな。読みにくい冗談ね、神崎くん……？』
目の前にいる彼女と目が合う。
そこから感じられるものは、多少の困惑。それから"好奇心"。
思った通りの反応。
つまり、僕の狙いはこう。
物事を何でもすぐに見通せてしまう、彼女の才。
それ故に彼女は世の中でひとりぼっちだ。
きっとそれは、想像するよりもずっと退屈で、彼女にとっての大きな苦悩。
Aちゃんが時折見せる翳りは、きっとそこからくるものだろう。
だから、自身が理解できないものには必ず興味をもつはず。
誰だって飢えた状態でオアシスを見つければ、そちらに目を向けるはずだよね？
その可能性に、僕は僕を賭けてみたというわけだ。
｢冗談かぁ……｣
それともう一つ。
彼女の気を引くため、それももちろん目標。
だけど僕は決して、嘘偽りを言った覚えもない。
これは全部本音。
まだ知らない彼女の色んな顔が知りたいと思うし、彼女の瞳に映る世界を理解したい。
大切な家族を失った彼女を、傍で支えたい。
初めて彼女を見たあの日から、ずっと胸に引っかかってたんだ。
「冗談っぽいかな？」
彼女にそっと一歩近づく。
キラキラ、吸い込まれそうなほどに綺麗な彼女の少し揺らいだ瞳には、らしくない表情をした僕が映りこんだ。
『神崎くんって、本当によくわからないね』
困ったように眉を下げて笑う彼女に、小さく心臓が跳ねた感覚をおぼえる。
「よくわからない人は？」
『魅力的かな』と返事をする彼女の頬は、少しだけ赤い。
「僕もそう思うな」
そう返事をすると、彼女は納得したような顔をする。
『あぁ、そういうことね』
｢何かわかったの？｣
『そうね。変人好きには変人好きを、ってところかな』
「さすが」
そう言うと、Aちゃんはくすっとひとつ笑ってみせた。
無邪気な笑顔は、確かに僕のよく知る先輩に似ているけれど。
立花アサヒという存在に関係なく、僕は彼女に惹かれているから。
『絶対、つらいと思う』
「うん」
きっと振り向かせてみせるから、待っててね？
立花Aちゃん。
*
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Lito(プロフ) - 神作品に出会ってしまった…更新待ってます！続きをお恵みください……！！！ (2022年1月31日 17時) (
レス) @page8 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 神無雪。/くろめも@元uruhuさんさん» コメントありがとうございます。わかります〜;;そんな風に言っていただけて嬉しいです！頑張って完成させたいと思いますので、これからよろしくお願いします……！ (2020年11月13日 12時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
神無雪。/くろめも@元uruhuさん(プロフ) - 神崎ソウシロウさんの作品ちょっと少ないので読んでて楽しいです (2020年11月13日 6時) (レス) id: 18e59d97df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽぴら | 作成日時：2020年11月13日 4時
