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CASE.1-2『成功の失敗』 ページ4

放っておくこともできた。



私は、彼を自分から遠ざけたくて。

だけど哀しそうに揺らいだ彼の瞳が、
私の良い癖でもあり悪い癖でもある"行動力"と"お節介"を(くすぐ)った。



私は、君が求めている「立花さん」じゃないけれど。



それでも、なぜか伝えたくて堪らなくて。


それは前述の通り、ただの私の余計なお世話とやらか
はたまた気分か、それとも彼が神崎ソウシロウだからか。



伝え終わってから、なんとも言えない表情でただ私の目を真っ直ぐ見つめる彼に、ハッと自分の過ちに気づいた。



純粋に、まずった、と感じた。



私の憶測が正しければ、彼は探偵職に目をつけているはず。

司法関係から足を洗った彼だが、姉が生前の頃のままだったとするならば、本来彼の性分は自由奔放で気まぐれ。

私の姉ともよく突飛な捜査をしたことがあるようだった。



私は探偵職を気に入っている。


理由は単純で、私が元々推理が得意なのと、自由性が高いから。
それから、一番は人を救う仕事がしたいから。


だから私も初めは警察官を目指していたけれど、すぐに私には合わないと気づいた。


それは、神崎くんと初めて会話した日にもそう感じた。

勝手ながら、彼も私と同じような分類だと思ったから。



「……驚いちゃった。まるで本当に、立花先輩に言われているみたいだったよ。」



何か言いたげな様子だった彼が、やっと声を出した。

その顔は、どこか泣き出してしまいそうな、苦しいような、そんな表情。



この顔だ。この顔が嫌いなんだ。



私が彼の前に姿を現せば、彼は必ず私とアサヒ姉を重ねる。


それは、私の存在自体が彼を傷つける毒になるということ。


だから私は、






『……ごめんね、忘れて。』






彼の前にいてはいけないんだ。





*

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Lito(プロフ) - 神作品に出会ってしまった…更新待ってます!続きをお恵みください……!!! (2022年1月31日 17時) (レス) @page8 id: d0534e1594 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴら(プロフ) - 神無雪。/くろめも@元uruhuさんさん» コメントありがとうございます。わかります〜;;そんな風に言っていただけて嬉しいです!頑張って完成させたいと思いますので、これからよろしくお願いします……! (2020年11月13日 12時) (レス) id: d4ba406946 (このIDを非表示/違反報告)
神無雪。/くろめも@元uruhuさん(プロフ) - 神崎ソウシロウさんの作品ちょっと少ないので読んでて楽しいです (2020年11月13日 6時) (レス) id: 18e59d97df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽぴら | 作成日時:2020年11月13日 4時

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