第四夜 ページ6
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コンコン。
何かの音…ノックだろうか…私はその音で目が覚めた。何だろう。太宰…?けれど、音は窓からだ。太宰にしては不自然すぎる。わざわざそんなことをしなくても良いからだ。それに…。
『…鉄格子が…』
いつの間にか鉄格子が外れている。もしかして。そう思って窓を開けた。
乱「やあ。良い夜だねえ」
福「全く、太宰も分かりにくくするもんだ」
『乱歩さん、社長…!』
私が気絶している間に、夜になっていたらしい。恐らく、捕まったあの日の翌日の夜。部屋も薄暗くて姿ははっきりと見えないけれど、声でわかった。何と云ったって、二人は私の師匠だ。乱歩さんは推理の。社長は武術の。
乱「無事?まあ、僕が導き出したんだから無事だろうけど」
『お陰様で。ありがとうございます』
福「太宰はどこに?」
『私にも分かりません…奴の行動は予測不可能なので』
もともと知ろうもしなかったけど。
福「そうか…なら早く脱出した方が良いだろう。こちらへ」
『すみません…ありがとうございます』
乱「…何で時雨が謝るのさ?」
『え?』
乱歩さんが突然云った言葉に目を開く。乱歩さんも目を開けている。何度も思ったことだけれど、乱歩さんの目の何と美しいことだろう。背景も相まってもっと綺麗になっている。
乱「これは太宰のせいだ。なのに何で謝るんだ?」
『それは…』
答えは分かっている。私がこれまで他人の事を何とも思ってこなかったから。その結果、太宰に寂しい思いをさせてしまったのかもしれない。そう思うと、このままここを去ることが太宰にとってかわいそうに感じてきた。
『…すみません、少し、時間をくれませんか?あと、紙とペンも…』
手紙を書いた。太宰宛の置き手紙。これを読んで、少しでも太宰が救えれば…。
“太宰へ
私は迎えに来たので帰ることにする。でも、決してお前を捨てたわけじゃない。私はこれまで恋愛というものに関心を持っていなかった。探偵社で犯罪を罰していれば、いつか兄弟が帰ってくると思い込んでいた。もう辛い思いをしたくなくて、想い人というものを作らなかった。だけど今回の件で自分がそういうことをしていたことに気がついた。だから、これからは普通の女性らしく、人を見ていく。お前と働いていれば、もしかしたら結ばれることもあるかもしれない。私にもう一回チャンスをくれないか?
時雨”
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花吹雪 - ブホォォォwww面白いです!応援してます! (2020年9月14日 21時) (レス) id: afa01603c5 (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - リクありがとうございました(。・x・)ゞ♪ 遅くなってごめんなさい(つд;*) (2020年2月29日 15時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2020年1月19日 22時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - 今回も面白かったです(*^□^*) 今年も更新頑張って下さい (2020年1月2日 23時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
ミレー - リクエスト良いですか(*^□^*) 中也様(15) と中也様(16)お願いします(*^□^*) (2019年12月27日 21時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:五星暁。 | 作成日時:2019年9月17日 2時