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ライブ後、00メンバーは宿泊先のホテルに帰り、夕食の時間がくるまでそれぞれ与えられた部屋で過ごしていた。襲名メンバーは一人一部屋与えられることになっており、Aは遊びに来た佐江と一緒にソファに座りぼうっとテレビを見ている。
佐「…総選挙が復活するなんて驚いたよ」
佐江がポツリと話だし、Aは相槌を打つ。
A「だね。まさか初めての総選挙することになるなんて思ってもなかった。佐江も総選挙初めてだよね」
佐「うん。私が襲名する前に中断されたからね」
A「しかもセンターノヴァ復活なんてほんと驚いた。運営は何考えてるんだろね。そりゃセンターノヴァが復活すれば00はもっと盛り上がるだろうけど、危険があるからやめたんでしょ?」
佐「うん…。皆驚いてたけど優子さんは大喜びしてたね。センターノヴァになりたいってずっと言ってたから本気で狙ってくだろうね。総選挙でも当然1位を狙うだろうな。
……総選挙かぁ。嬉しいような嬉しくないような……複雑」
佐江はあまり嬉しそうでない顔をしてる。Aは不思議に思い質問した。
A「なんで?確かに襲名メンバーは皆人気あるけど、佐江だってすごいファン増えたじゃん。選抜入り間違いないよ」
佐「そんなことわからないよ。総選挙は誰にでもチャンスがあるんだ。それに総選挙をするってことは順位を決められるってことだよ。誰が上で誰が下か決められる。
…すごく怖い」
普段の佐江から聞かないような暗く沈んだ声で呟かれ、Aははっとした。
佐江の言う通り、総選挙ではファンの投票によってメンバーの誰が上で、誰が下か決められる。
それに気づいたと同時にAはあの夢を思い出した。
あの異空間で階段から落ちてゆく少女達を。
A(…私は何位になるんだろ。選抜に選ばれる?できるの?)
そう思うととても不安で、怖くなった。
Aも佐江も暗い顔で黙り込む。だが、しばらくすると佐江が口をぎゅっと堅く結んで勢いよく立ち上がった。
佐「―――たとえどんな怖くても!私は佐江らしく正々堂々戦ってく。自分のためにファンの皆の為に頑張る。どんな結果になっても受け入れて選抜メンバーにおめでとうって言いたい。
あっちゃん、お互い選抜目指して頑張ってこう!」
佐江はにっと頼もしい笑みを浮かべる。相変わらずイケメンで、輝いて見えた。
Aはまだ戸惑いがあるが、とにかく頑張るしかないのだと思い「うん」と言って頷いた。
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2021年5月29日 12時