5話 ページ7
いろいろマイキーに聞きたいことはあったけど、敢えて全部飲み込んだ。
今のマイキーは弱っていたし、多分元気になっても、何があったかまでは話してくれそうにないなと思ったから。
オートロック付きのマンションの入口まで着くと、目が覚めたのか、マイキーがかすれた声をあげた。
「……A?」
眠たそうな顔をしている。普通に可愛い。………何考えてんだ、俺!?マイキーはカ、カッコいいはずだろ…!?
「お、起きたのか、マイキー。ここが、俺が暮らしてるとこ。あ…その、立てるか?」
動揺を隠しきれなかったー。幸か不幸か、マイキーはその事には気付かず、「うん」と頷いた。
やっぱり可愛いな、この野郎!!
ひとまずマイキーを連れて帰れたので、一安心…だと思う。とりあえずスリッパを履かせてソファに座るようにすすめたが、ペタペタと歩く様はまるでペンギンのヒナのようだ。
「マイキー、風呂とシャワー、どっちが良い?それとも、着替えて寝るか?」
「んっ…シャワー浴びる…」
「分かった。じゃあ、バスタオルと着替え用意しとくな。…ああ、冷蔵庫にある飲み物、好きに飲んでいいぜ」
「…ありがと、A」
12年前に別れた彼奴と、また普通に言葉を交わせるのは、本当に幸せだった。
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作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時