検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:8,696 hit

8話 ページ10

ドライヤーで髪を乾かしてもらっている間、Aの手つきはとても優しかった。ちょっとくすぐったかったけど。

「………何これ?」

Aが色々ボトルを持ってきて、テーブルに並べる。

「肌のケアに使う奴。クリームとかローションとか色々」

男だった時には全然縁のなかった化粧品を、使う日が来るとは思わなかった。…そういえば、エマも昔沢山化粧品を持ってたな。

「………エマも、こういうのいっぱい持ってた」

思わず、口にしていた。案の定、Aは一瞬だけ動揺した。

「………辛いこと、思い出させちゃったか?」

心底すまないという顔で、Aは俺の方を覗き込む。また、自分の頬が熱くなるのを感じた。確実にAは、昔より色気が増したと思う。

「ん、大丈夫。…でさ、これどうやって使うの?」

結局保湿クリームを塗ってもらった。俺にとって化粧品は未知数だったけど、感触は悪くない。

それからAはどこからか、おっきなピンクの球のようなキャラのぬいぐるみを持ってきた。そしてそれを、俺に渡してきた。

「とりあえず抱いてみな。気持ちも落ち着くはずだから…さ」

流石に照れているようだ。結構ポップなのが好みなんだろうか。…とりあえず可愛い。

勧められるままに、でっかいぬいぐるみを抱いてみる。信じられないぐらい柔らかい。確かにこれは、今の俺には必要な物かもしれない…

「じゃあ俺、シャワー浴びてくるから。何食べたいとかあったら、考えといてな」

「…んー」

いつまで、こんな穏やかな時間が続くだろうか。

9話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
設定タグ:東京リベンジャーズ , 佐野万次郎   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:米グルイ | 作成日時:2022年8月22日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。