44話 ページ45
智「A」
貴「…っ」
智「もう過去に縛られるな」
貴「っでも…」
智「Aは生きていていいんだ」
貴「そんなのっ、…できない」
智「できなくない。この先も生きて」
貴「いやっ」
智「…そんなに死にたいか」
感情に任せて言葉を吐き出していたせいで気づかなかった。
先生の泣いていることに…
涙で潤んだ先生の目と私の目が合う。
智「…その傷」
貴「えっ…」
智「腕の傷は自分で？」
貴「気づ、いてた、の…？」
智「今日知ったんだ」
貴「な、んで…」
智「和先生が教えてくれた」
貴「あっ…」
智「今までそんな素振り見せなかったのに、寝ているときAが腕をかいてたんだって」
貴「ん、」
智「それがひっかくような仕草になったから気になって見たらしい」
貴「…っごめん、なさい」
智「…何で謝るの？」
貴「だって…わる、い、こと、だから…」
智「そうだねぇ。自分を傷つけるのはいいことではないね」
貴「…ん」
智「でも我慢できなくなっちゃったんでしょ？」
貴「んっ…、1回だけ、って…」
智「そっか。切ったあとはどんな気持ちだった？」
貴「…切っても、苦し、かった…」
智「苦しい？」
貴「生きてるのを感じた、から」
智「ん、そっか。生きたくなかったんだもんね」
貴「…それに誰にも言えなかった」
智「…切ったこと？それとも苦しかったこと？」
貴「っどっちも…」
智「そっか。今カッターは？」
貴「…っ」
智「これは正直に答えて」
貴「…カバンにある」
智「じゃあ俺にちょうだい」
貴「…ゃ」
智「もしまた切りたくなったら俺に言って」
貴「…でも」
智「切っていいかは俺が決めるから」
貴「…」
智「カッター出して」
ベッドから無理矢理下ろされるとひんやりとした床が私の思考を冷静にしてくれた気がする。
千尋が置いて行ってくれたスクールカバンからカッターを取り出すと強く握りしめて先生の前までもっていった。
智「ありがとう」
強く握っていたのに簡単に取られてしまった手は寂しそうにカッターを握ったままの形を保っていた。
智「…カッターがないと不安？」
そんな様子を見てか先生が聞いてくる。
貴「…ん」
智「逃げ場がなくなるから？」
貴「…っうん」
智「…辛くなったら絶対に言える？切りたくなったら切る前に誰かに言える？」
貴「…そんな、の、わからないっ」
智「そうだよね」
そういうと先生は私のベッドのコールボタンを押し和先生を呼んだ。
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空蝉(プロフ) - naoさん» ご指摘ありがとうございます。すぐに直させていただきました。 (2020年2月3日 21時) (
レス) id: 94fcae9fee (このIDを非表示/違反報告)
nao(プロフ) - 登場人物のところの紹介の友人の所が桜井のって全部なってるけど、桜木の間違いですよね。 (2020年2月3日 2時) (レス) id: 3ab06130a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空蝉 | 作成日時：2020年1月27日 22時
