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第百三十五訓 ページ8

真選組にAが戻ってきた。土方の部屋へAが不在の間溜まっていた仕事を片して書類を届けに行く。


貴方「土方。これ書類だ」

土方「あぁ、悪い。そこ置いといてくれ」


書類を提出し、もう用はないはずなのだがAは土方の部屋から退出しない。視線を向けるとばっちりと目が合った。


土方「どうしたんだよ」

貴方「…手伝おうか」

土方「は?」


どうした。本当にどうした。内心焦りながらも冷静を繕い問いかけると彼女は同じく2回目の返答が返ってくる。


貴方「手伝う」

土方「あ?いや平気だから。お前もまだ仕事あんだろ」

貴方「終わった」

土方「はやくね!?」


さすがは仕事が出来る女。あんなにごっそりあった大量の書類をたった一日で終わらせるとは改めて感心していると、Aは視線を逸らしながら「そもそも」と呟いた。


貴方「私の責任なんだ。これ以上迷惑はかけれない」


その言葉から申し訳なさそうに逸らした視線が交わることは無かった。「机持ってくる」そう言って1度土方の部屋から退出する。


机を持って土方の部屋へ向かうAを見かけた沖田は、咄嗟に隠れてしまう。また逃げてしまった。

彼女が真選組に戻ってきてから真っ向から接することができなかった沖田。無事に生きていてくれてよかった。でも本当なら俺があの場にいて護ってあげたかった。

そんな複雑な心境で面と向かってAと話せないのだ。


貴方「全部松林家の書類じゃないか」

土方「そりゃそうだろ。さっきお前が自分の責任っつってたのこの書類のことだろ」

貴方「貴様本当に仕事遅いな」

土方「うるせぇよ!!」


土方は普通にAと話せている。近藤だって、ましてやクソジミー山崎だって。

そんなことにもフツフツと嫉妬の渦が巻き上がる。本当、俺ってだっせぇな。

自分自身に自嘲し、土方の部屋へ背を向けて歩き出そうとすると、



貴方「総悟」



愛おしい声に足を止めた。

振り向かなくても分かる。あぁ、もう。名前一つ呼ばれただけでこんなに沈んでいた心が飛び跳ねるなんて。俺は少女マンガの女子か。

振り向けばやっぱり思っていた人物が目に入った。

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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます!! (2022年7月28日 17時) (レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです!!! (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます!イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます!笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:尾っぽ | 作成日時:2017年8月21日 1時

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