第百三十四訓 ページ7
銀時「あー、お前が前言った依頼ってやつ。今から取りに来いや」
貴方「…は？」
そう言うと銀時はずかずかと勝手に進んでいく。
貴方「どこに行くつもりだ」
銀時「まぁ着いてこい」
何を言っても聞かない。返事だって、あーだのおーだの。視線をずっと前に向けたままでさっさと歩く銀時に言われるがまま仕方なく追いかけるように着いていくと、
辿りついたのは──
貴方「えっ…」
見慣れた場所。思い出の場所。
──帰りたかった場所。
貴方「なん…」
近藤「Aちゃん」
なんで。その言葉も聞きたかった声にかき消された。近藤がAのもとへ歩み寄ってくる。
近藤「Aちゃん！」
貴方「っ！な、なんだ！」
大きな声を出されたと思えば近藤は懐から1枚の紙切れを出す。
貴方「！…それ」
Aが書いた退職願。それをびりびりと目の前で破り捨てた。
近藤「この真選組局長近藤勲は、芹沢Aの退職を否認するぅぅうっ！！」
そう言うと後ろにいた隊士達は歓喜の声を上げた。戸惑うAに近藤が両肩を持ちゆっくりと見つめて話す。
近藤「Aちゃん。ずっと待ってたよ。俺たちのために、ありがとうな。護ってくれてありがとう」
貴方「…………別にお前達を護ったわけじゃ、！私は、」
近藤がAの肩を掴んで真っ直ぐに見つめる。戻っておいでと言わんばかりに。
貴方「…っ、私は、真選組じゃ…」
近藤「お前は立派な真選組だ。俺たちが保証する」
そう言うと、そばに居た銀時はAにふわっと投げる。それは以前Aが銀時に燃やしておいてと頼んだ隊服だった。
銀時「燃やしてねーから、金はいらねーよ」
隊服をぎゅっと握りしめるAの肩が微かに震えていた。
近藤「おかえり、Aちゃん」
それは優しい眼差し。優しい声。
貴方「…ただいま」
目の前が滲んで見えない。けれど肩に置かれた手は、いつの日か私を救ってくれた大きな手で間違いなかった。
身体の内側から湧き上がるジワジワした温かいそれは嬉しさと幸せという形にないものだけれど、確かにAの元へと戻ってきた。
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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます！！ (2022年7月28日 17時) (
レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです！！！ (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね！ (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます！イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます！笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：尾っぽ | 作成日時：2017年8月21日 1時
