第百陸拾八訓 ページ42
貴方｢…近藤が帰ってこないんだが｣
土方｢もう2日か。またあのメスゴリラにやられてんじゃねぇのか｣
沖田｢あぁ、確か見廻り中にゴリラは見やしたけど｣
土方｢そういや俺も見たな。猫も2匹連れて｣
貴方｢…ゴリラと猫？｣
不思議な話を聞いて謎は深まるけれど、とりあえず見廻りへ出ようと立ち上がった。
沖田｢Aさん？｣
貴方｢少し出てくる｣
沖田達にそう告げて街へ出れば、フラフラとお腹を空かせたように歩く猫。白い毛玉のようなブサイクな猫だ。
だけど、何故か他人のようには思えなかった。
貴方｢お前、…私の知っているアホに似ているな｣
手を伸ばせば、猫は死んだ魚のような目を大きく見開いて逸らさなかった。
貴方｢おいで、お腹空いているんだろう｣
縮こまるように頭を引っ込めたが、Aの綺麗な指はふわふわの毛の中に埋まった。
そのままヒョイっと抱き抱えると、猫は慌てて逃げようとするけれど、力を込めて胸に収めるとピタリと動きが止まった。
沖田｢あれ？どうしたんでぃその毛玉｣
貴方｢街をさまよっていた。飯だけでも食わせてやろうと思ってな｣
沖田｢ふーん。こいつ昼間に見たやつじゃねぇですかぃ？｣
貴方｢そうなのか？じゃぁゴリラ達とはぐれたんだろうか｣
抱っこして問いかけると猫はにゃ、とだけ鳴いた。そうだという返事だろう。
土方｢あー。こいつ昼間のやつだろ。相変わらずブサイクな毛玉だな｣
猫｢シャーー！！！｣
爪を立てて土方に威嚇しだした猫を落ち着かせる。
土方｢んだよ可愛くねぇな。おいA、うちで面倒見る義理はねぇぞ｣
貴方｢分かっている。お前達には迷惑かけないようにする。とりあえず、…風呂に入れるか。汚れているし｣
猫｢…｣
沖田｢え？｣
お湯は湧いているか？と猫を抱えて風呂場に向かうA。
土方｢ちょっっっと待て。お前とそのブサイクが一緒に入る意味が分からねぇ｣
貴方｢うちの風呂場なら一緒に入っても有り余るだろう｣
土方｢広さの問題じゃねぇんだよ！オスだろ。そいつオスだろ。仮にもお前女だろ。やめとけ発 情されんぞ｣
沖田｢そうですよ。ただの毛玉でも許せやせん。腰振られたら切腹問題でさァ｣
貴方｢何も心配ないって。後でご飯作るから材料の確認だけしといてくれ｣
猫｢…？！にゃ、？｣
慌てる猫を連れて浴室へ向かった。
Aが入っている間は沖田土方セコムが立ち入り禁止の貼り紙を出して。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます！！ (2022年7月28日 17時) (
レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです！！！ (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね！ (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます！イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます！笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：尾っぽ | 作成日時：2017年8月21日 1時
