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第百陸拾訓 ページ34

バキ、と刀が折れる音がした。

激しい戦闘を交え、膝をついたのは高杉の方だった。
それでも銀時もいくつかダメージを受け、肩で何度も息をする。


銀時「…悪ぃな。っ、俺も、引き下がれねぇからよ」

高杉「…ちっ、…お前も、変わったな。いつからそんなに女のために戦えるようになったんだ」

銀時「……」


一度、瞼を閉じた。脳裏に過ぎるのは、彼女との記憶。それから、周りに咲く仲間たち。江戸の街。
心臓が、高鳴った。その意味は温かいもの。幸せだっていう、気持ち。


銀時「…変わっちゃいねぇよ。なにも。俺の護りたいもんは、いつだってすぐ側にある」


彼女がいたからこそ。幸せだって思えた。彼女がいないと、その仲間たちも、江戸の街も、何一つ、意味なんてないんだ。だから、大切なんだ。俺にとっても、みんなにとっても――――。



.


貴方「…う、…」

神威「悪ぃけど、ちょっと我慢してよね」


神威を庇ったことで彼女の身体から流れる血を止めようと、自身の持ち合わせているもので僅かばかりの手当てを施している最中に、足音が近づいた。


神楽「神威!…!お前…Aに何したアルか!」

神威「うるさいのが来たなぁ。何もしてないって言ったら嘘になるけど何もしてないよ」


軽く手当てを終えて振り向くと、神楽と新八がAを見て神威を睨みつける。しかし彼は何も動揺しないけれど。神楽はそんな神威にいつにも増してキレた。指を指して大声で。


神楽「うるせぇのはおめーだ神威!そういうのいちいち面倒なんじゃボケェ!正直に白状しろォ!」

神威「あはは。お前に話すようなことは何もないって。勘違いしないでくれるかな」

神楽「勘違いするようなことを言うお前の口が悪いアル!!今すぐ喋れないようにしてやっぞ!」

神威「バカだね。勘違いするようなお前の頭が悪いんだよ。今すぐ動けないようにしてやるよ」

新八「いい加減やめてくれませんか物騒な兄妹喧嘩」


真顔で見ていた新八が痺れを切らして言った。真顔で。


神威「悪いけどお前の相手してるひまはないんだ。失せろ」


神威のそばにいたAがぴくりと少し動いた。けれど、相変わらずまだ目は覚ましていない。やはり行き当たりばったりの手当てじゃダメか。はやく船に戻らなくては。彼女を抱きかかえて背を向けた。その時だった。


「失せるのはてめーだ」


神威の目の前に見えた黒い隊服。刹那、襲いかかってきたので瞬時に避けると、大きな衝撃と共に床が崩れ落ちた。

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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます!! (2022年7月28日 17時) (レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです!!! (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます!イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます!笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:尾っぽ | 作成日時:2017年8月21日 1時

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