第百伍拾捌訓 ページ32
高杉が顔を背けると、今度は神威が近づき、座り込むAと視線を合わせるようにしゃがみニコリと笑う。
神威｢やっぱりいいね、おねーさん｣
楽しげに笑う神威にAは理解できないように眉を寄せた。
神威｢俺強いヤツにしか興味無いんだよね｣
その笑みはいつも裏に影が見えて気に入らない。
貴方｢…なんのために強くなる｣
神威｢さぁ？面白いから｣
ゆっくりと細められていた目が開く。綺麗な青い瞳がAの顔を映した。真っ直ぐで、強く揺らがない瞳。
神威｢アンタは強い。強い女は強い子を産む。だから殺さない｣
逸らせないほど真っ直ぐにAを射止めた目は、再び細められ、笑顔に戻った。
神威｢だから俺と一発、どう？おねーさんっ｣
貴方｢死ね。ガキが調子に乗るな｣
表情を歪ませて神威に怒りを向けた。チッと舌打ちすれば、おねーさんこわーい。とケラケラ笑う神威にガン無視を決め込み、阿伏兎へどうにかしろと無茶振りをすればなんで俺だよとツッコミを受けた。
その後、しばらくして船が到着し、逃げることも出来ず囚われて船に乗ったA。
高杉｢えらい大人しくなったな姉ちゃん｣
貴方｢私が着いていけばいいだけのことだろ。簡単なことだ｣
全員乗り込み、ゆっくりと城が離れていく。
何も無い。私がいなくても。感傷に浸る必要は無い。そうだ。私はもともと1人だったのだから。また、元に戻っただけだ。
窓から見える景色も遠くなっていく。瞼を伏せてそっと目を離した。
その時だった。
ドカァァンと大きな音がして船が揺れた。
｢うちの娘を返せぇぇぇ！！｣
聞き覚えのある声だった。体制を整えて窓を覗けば、でかいバズーカを構えたグラサンジジイが立っていた。
貴方｢…松平｣
｢船が攻撃されています！｣
｢このままでは動けません！｣
高杉｢乗り込まれたようだな｣
神威｢あらら。やっぱりそう簡単には行かないようだね。俺あっち片付けてくるよ。なんかいっぱい倒せそうだし｣
隊員達が乗り込んでくる。高杉は好きにしろと言い残して去っていった。神威は動き出し、次々と戦い狂う。
まさか。アイツだって傷もまだ癒えてないはず。それでもまた血に染まる姿にAは胸が痛む。
貴方｢…おい、無茶するな、！｣
叫んでも止まることは無い。すると、神威の動きが不自然に歪んだ。脇腹が。あれは私が一撃入れた場所。傷んだのか、そこを庇い隙が出来た時、後ろから刃が飛んできた。
Aの体は、勝手に動いていた。
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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます！！ (2022年7月28日 17時) (
レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです！！！ (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね！ (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます！イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます！笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：尾っぽ | 作成日時：2017年8月21日 1時
