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第百伍拾伍訓 ページ29

警察からして攘夷志士とは敵対関係になる。過去にそうだった人も例外ではない。
どちらが正義とは言わないが、私は紛れもない真選組だ。迷いがあった自分の背中を押してくれた彼が。

目の前の男のことを信じるわけではないけれど、彼のあの強さを攘夷戦争に参加して生き残ったと言うのならば話がつく。

もし本当に彼が攘夷志士だった…ならば。


高杉「クク、意外か?」
貴方「……そうだな…」


暗くなったAを見て高杉は不敵に笑う。でもすぐに、顔を上げた彼女の表情は穏やかだった。

貴方「…それでも、アイツがなんであっても関係ない、それでも…私はアイツが好きだ」


──好き。今までの好きとは違う。初めてこんな特別な好きを口にしたことで更に実感が湧く。頭に浮かぶあの男が、私の心を動かして、掴んで離さない。


高杉「…目的が変わった。姉ちゃん、俺と一緒に来い」
貴方「…は、…なにを」
高杉「気に入ったぜ。アンタのこと」
神威「俺も賛成だよ」

不敵な表情から高杉は自然な面白いという笑みを浮かべて煙管をしまった。


貴方「バカか。黙って、はいそうですかと着いていくと思うのか」
高杉「クク、思わねぇよ。だから最初の目的は果たす。あの幕府の男は殺す」

顎を掴まれて顔を上げさせられ、高杉と目が合う。体がまだ傷んで言うことを聞かず、抵抗出来ない。

貴方「…ちっ」

唯一の力を振り絞り、顔を勢いよく振り切って手を払った。

神威「あ、晋助。なんか外にいっぱい人がいるよ」
高杉「囲まれたか」
阿伏兎「団長、真選組に嗅ぎ付けられたぜ〜…って、ありゃ、どうしたよその傷」

襖の入口は悲惨に破れ、ボロボロになった部屋に入ってきたのは、だるそうな声と伴った表情をした阿伏兎だった。

神威「ただのかすり傷だよ」

ニコリと笑って答えたが、至る所に血が滲む神威を見たその後に、目の前にいた同じように傷だらけになっているAを見て状況を察した大人の阿伏兎は困ったように笑った。

阿伏兎「…まーたとんでもねぇ姉ちゃんが出てきたもんだ」
高杉「まぁいい。行くぞ」

Aを頼んだと高杉は部屋を出ていく。

神威「あーあ、全く人使い荒いなぁ。阿伏兎、よろしく」
阿伏兎「はぁ〜?人のこと言えねぇよ団長」
神威「俺怪我してんの。まぁかすり傷だけど」
阿伏兎「…結構やられちゃってんのね。ったく」
貴方「…ちょ、降ろせ!」


傷口に響いて抵抗出来ないAは阿伏兎の肩に担がれ、訳の分からないまま廊下へ進んで行った。

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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます!! (2022年7月28日 17時) (レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです!!! (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます!イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます!笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:尾っぽ | 作成日時:2017年8月21日 1時

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