第百伍拾参訓 ページ27
高杉。どこかで聞いたことあるような名前だった。けれど詳しくは思い出せないし多分、桂同様、最近こちらに帰ってきたAは攘夷志士のことを知らないので分からない。
彼は怯えるように背後に隠れた。
高杉｢そんなに睨むなよ姉ちゃん｣
神威｢晋助、先にあの女殺っとく？俺が殺していい？｣
貴方｢悪いが私は貴様なんぞに殺されるほどヤワじゃない｣
高杉をキッと睨み付けたまま後ろにいる彼に右手を開く。
貴方｢刀はあるか。ここは私が引き受ける。護衛を呼んで逃げろ｣
｢芹沢さん…、む、無茶だ！｣
高杉｢芹沢…？へぇ、もしかしてアンタが真選組の女総長か？｣
貴方｢だったらなんだ｣
高杉｢女総長が幕府の殿方と見合いたァねぇ｣
神威｢真選組ってあの警察の？でも女だし弱いんでしょ？｣
高杉の横で笑顔を絶やさない男に視線を向けた。少し童顔で、白い肌。銃口を向ける番傘にどこかで見たことがあるような面影を感じた。
途端に再び発砲してきた。瞬時に足に力を込めて畳を盾にする。
貴方｢刀をくれ！｣
｢で、でも！｣
貴方｢早く！！｣
｢っ…は、はい…！｣
神威｢無駄だよ｣
上を向けば男が蹴る体制で咄嗟に避ける。瞬間、後ろから番傘が風を切って振り下ろされる音がした。ドカンと床が凹んでホコリが舞う。
神威は笑顔を浮かべたけれど、番傘は彼女には当たってなかった。
神威｢…へぇ、仕留めたと思ったんだけど｣
貴方｢…残念。一足遅かったな｣
一瞬のうちに彼が持ってきた刀で番傘を受け止めた。鞘ごと受け止めたため、ピキ、と鞘にヒビが入る。それが神威の強い力を示すには十分だった。まともに食らっていたら一発で死んでいた。背中に冷や汗が伝う。
しかし攻撃を刀一本で受け止めた彼女の力にも、本当に仕留める勢いだった神威は彼女に対して認められる強さだと悟り細めていた目が薄く開く。
傘を弾き、もう一度蹴りをいれて避けられ、神威は盾になった畳を踏み台にして蹴りをいれた。
貴方｢っ…！！｣
壁まで思いっきり吹っ飛んだAは吐血し蹴りが入ったお腹を抑える。
｢芹沢さん…！｣
神威｢人のこと心配してるヒマじゃないよ｣
彼に近づく神威にAは逃げろと叫ぶが彼は腰が抜けて動けない。
神威｢っ…！｣
無心で体を奮い立たせて神威に斬り掛かる。
｢芹沢…さん…｣
貴方｢早く逃げろ…！｣
慌てて部屋から逃げ出した彼を確認してAはゆっくりと神威を見つめた。
.
貴方｢…お前、家族はいるか｣
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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます！！ (2022年7月28日 17時) (
レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです！！！ (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね！ (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます！イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます！笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：尾っぽ | 作成日時：2017年8月21日 1時
