第百三十八訓 ページ11
沖田「…俺、あの時、俺があの場にいたら!Aさんのこと護れたのに!…怪我なんてさせなかった。気づけなかった自分に対して腹立って、見舞いにもいけなくて…すいやせん」
貴方「…知ってたぞ」
沖田「え?」
貴方「お前が花持って病室の前まで来てたの知ってた」
沖田「…えっ…」
貴方「毎日、自分で花選んでくれたんだろ。さぞ花に詳しくなったんだろうな。そう思って今日選んでもらった」
沖田「……まじか」
俺の驚いた顔を見て彼女は少し笑った。
貴方「ちなみに、この花はなんだ」
沖田「えっ…あ、ガーベラ」
貴方「……そう」
花はいいな。黄色いガーベラを見て微笑んだ。あぁ、もう、好きだ。その笑顔を護りたい。
腕を引き寄せてぐっと近づいた。
沖田「今度はちゃんと俺に護らせてくだせぇ。部下じゃねぇ。男として、アンタのこと護りたい」
今度はきちんと、真っ向から。真剣に言った沖田とAの視線が交わる。
少しの時間が流れた。沖田はAから出る言葉を待っていたが、それはなく、パチンと沖田の額を控えめにデコピンした。
沖田「いってぇ…」
デコピンされた額を押さえていた沖田。まさかの展開だった。まさかまさかデコピンされるなんて。
マジで言ったんだけどな…。半分ショックを受けた。
少し顔を上げずらそうにしていると、彼女の手が沖田の頬を撫でて、上を向かせる。自然と再び目が合うと、続きに沖田の額を押さえる手と手が重なり、それをするりとどけた。
訳が分からずAを見ていると、
刹那、
額に柔らかい感触が触れた。
それはほんの一瞬で、小さなリップ音の後に離れた彼女は、何もお構いなく俺に触れた唇から言葉を発する。
貴方「また花のこと教えてくれ」
髪をなびかせて、背を向け歩み出したAは嬉しそうに微笑む。
貴方「……ありがとな」
その表情は沖田には分かるはずもなかった。
固まった沖田は見る見るうちに顔が赤く染まり、触れられた額どころか顔面を手で覆い隠した。
沖田「……ずりぃ……」
そんな沖田の表情も、Aは知るはずもなかった。
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尾っぽ(プロフ) - 美恵子さん» ありがとうございます!! (2022年7月28日 17時) (レス) id: 96e7b68837 (このIDを非表示/違反報告)
美恵子(プロフ) - すっごくおもしろいです!!! (2022年7月2日 11時) (レス) id: 12d04b5d59 (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - たろ。さん» めちゃくちゃ嬉しいです…私も嬉し泣きしちゃう…更新頑張りますね! (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
尾っぽ(プロフ) - 紫姫さん» ありがとうございます!イラストに興味がありましたらTwitter垢作ろうか悩んでるのでたぶん今後そちらにあげていきます!笑 (2022年3月24日 12時) (レス) id: 469c01063a (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - 泣いたり笑ったり忙しいな。めちゃくちゃ面白くて一気読みしました。更新楽しみにしてます (2022年3月11日 2時) (レス) @page44 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:尾っぽ | 作成日時:2017年8月21日 1時