29話 レイン、牙と瞳。 ページ32
鋭い、
吸血鬼特有の牙。
昔、何度も見たことがある。
でも、
中也は違うはずだった。
前世のことを打ち明けても、
吸血鬼の部分にはあまり触なかったし………
牙も無かったし、
何でっ…………？
私を押し倒して首筋に顔を近づけるラル。
あぁ、ラル。
レイン｢いいよ、ラル。飲んで。｣
そっと癖のある髪を撫でる。
いい匂いがする。
ビクリ、
ラルが震えて首元に顔をうずめた。
本当に懐かしいなぁ、
月夜ノ会でもこうやって血を吸われたっけ？
小さな痛みがいとおしい。
コクリコクリ、と
ラルが飲む音がすぐ側でする。
しばらくして、
ラルはゆっくり顔を上げて私を見た。
綺麗な青い瞳が同じくらい綺麗な赤に変わる。
中也｢………れ、いん。｣
絞り出すようにかすれた声。
レイン｢ラル？それとも中也？｣
…………………どちらでもいい、
あ、でも、やっぱりラルかな？
中也｢っ、あぁ……俺は、俺はっ！！！！｣
私から飛び退こうとするのをとめて引き寄せた。
レイン｢大丈夫、大丈夫だよ。｣
ぎゅっと抱き締める。
恐くない、
むしろラルが戻ってきたみたいで嬉しい。
さっきの質問は無駄な期待だった。
ラルはもういない。
ラルじゃなくて中也だ。
中也｢っ……………ん。｣
急なことに身じろぎしたものの、
中也は私の胸で静かになった。
荒かった呼吸も徐々に元通りになる。
中也｢……………………レイン。｣
レイン｢なぁに？中也。｣
しばらくして中也が呟いた。
中也｢…………ごめん、隠してた。｣
レイン｢まだ吸血鬼だってこと？｣
さっきまで赤かった瞳が、
戻っていく………あれ？
中也｢よく、わからねぇんだ。人間なのか吸血鬼なのか………………｣
レイン｢じゃあっ………！｣
なおさら、
何故話さなかったのかわからない。
中也｢普段は何も、たまに凄く飲みたくなる。｣
レイン｢さっきみたいに？｣
中也が小さくうなずいた。
その時、
忘れかけていたイヤフォンマイクから声が聞こえた。
ユキ『あ、ああー、んん？中也、レインちゃんもしかして聞こえてる？』
突然だったので驚いて焦る。
レイン｢ユキさん！？ええっと、今の話聞いてました？｣
中也｢ユキ、聞こえてる。大丈夫か？｣
ユキ『今の話って？それより直ったみたいだね！二人は無事みたいでよかったぁ。』
──29話
30話 中原中也、警備員と追いかけっこ。→←28話 アリザ、尾行と異変。
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つんつん - 紅葉蝶さん» レスになってなかったみたいです……すみません。ひとつ前のコメントです。 (2017年8月12日 12時) (
レス) id: 7ecb90a7ce (このIDを非表示/違反報告)
つんつん - 返事が遅くなってすみません………お気づかい、ありがとうございます！ゆっくり亀さん更新なので大丈夫ですよ〜！ (2017年8月11日 10時) (レス) id: f07f192233 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蝶 - 体を壊さない程度でマイペース、ゆっくりでいいですよ？こわしたら元も子もないので……(＾△＾;;) (2017年8月10日 21時) (レス) id: 9cb858c548 (このIDを非表示/違反報告)
つんつん - 紅葉蝶さん» うわぁぁ………！応援ありがとうございます！楽しんでもらえたようでよかったです！更新頑張りますね！ (2017年8月10日 9時) (レス) id: 7ecb90a7ce (このIDを非表示/違反報告)
紅葉蝶 - すっごく面白いです！！つぎが気になってしょうがないです！更新頑張って下さい！応援しています！ (2017年8月9日 23時) (レス) id: 9cb858c548 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つんつん | 作成日時：2017年6月25日 12時
