【文スト】俺が帽子をかぶる理由 【中原中也】

26話　レイン、洋菓子と青年。 ページ29

ユキさんから情報をもらった後、
中也が会場に戻ってきた。


中也｢俺が異能者を無力化する。その間、標的を見失うなよ。｣

レイン｢わかった。｣


中也が若い男性に声をかけ、
会場の広間を出ていく。

あの人が異能者………！


あ………私は標的を見失わないようにしないと。



？？？｢ねぇねぇ、そこの君！｣

本当に綺麗な内装だな…………


？？？｢ねえってば！！｣

トントンと肩を叩かれて気がつく、
目の前に切れ長の眼をした青年がいた。


レイン｢あ、私ですか？｣

？？？｢そうだよ！この洋菓子、何味だと思う？｣


差し出されたのは綺麗なピンク色のミニケーキ。


レイン｢ええっと………？｣

突然の質問にどう答えればいいか困る。

？？？｢ベリー系かそれか桃なんて事もあり得る。｣

レイン｢あの、どちら様でしょうか。｣

取りあえず、
名前を聞こうと落ち着いた。


？？？｢馬鹿か君は、洋菓子の味を聞くだけで名乗らないといけないのか？そもそも自分から名乗るのが礼儀だ。｣

途端にムスッとして説教された。
どうしよう、正しいけどついていけない…………


レイン｢そうですね、私の名前はレイ……｣

？？？｢乱歩、ここにいたか。｣


私の言葉をさえぎって現れたのは、
和装の男性だ。

どうやらさっきから話していた青年は『乱歩』と言う名前らしい。


？？？｢勝手にいなくなると迷子になる。｣

乱歩｢だって、社長が他の人と話しててつまらなかったから………｣


社長(？)｢乱歩が迷惑をかけた。｣

レイン｢いえいえ、迷惑だなんてそんな……｣


乱歩｢『また』ね〜、レイン。｣


乱歩と言う青年の保護者らしき男性は、
そのまま青年を連れていってしまった。


？、あれ………私の名前、聞こえてたんだ。



とそこに中也が戻ってきた、
流石中也、仕事が早い。


中也｢ん？何かあったか？｣

レイン｢ううん、ちょっと話しかけられたから話しただけだよ。｣


心なしか中也の顔色が悪いのは気のせいだろうか？


中也｢んで、標的は？｣

レイン｢ああっ！！忘れてた！｣

辺りを見渡すが全く見当たらない。



レイン｢ご、ごめんなさい………｣

お、怒られる…………！
ぎゅっと目をつぶって謝る。

が、
いつまでも衝撃どころか怒った声も聞こえない。


中也｢そんなに怯えるなよ。標的は………一緒に探せばいいだろ？｣

恐る恐る目を開けて中也を見ると、
優しく頭を撫でられた。


うう………心臓が五月蝿い。


──26話

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