【文スト】俺が帽子をかぶる理由 【中原中也】

20話　レイン、先輩と人質。 ページ23

こうして私は、
二人の先輩に出会った。


間宮｢レイン君、よろしくね！｣

沢野｢………よろしく。｣


ええっと、訂正した方がいいのかな？


レイン｢あの、私は女です。｣

沢野｢…………女？｣


ぐいいっと沢野さんが顔を近づけた、
ち、近い！！


沢野｢！、あの時捕まえた…………！？｣

間宮｢えっ！？中原幹部の彼女っ！？｣


そう言えば、
この人の声聞いたことあると思ったらあの時の！！
(※８話でレインは沢野に連れてこられました。)



中也｢顔合わせ終わったか？任務始まんぞ。｣

裏路地を静かに歩いていく、
向こうから一つの影が近づいてきた。


レイン｢！？｣

中也｢ユキ、調子はどうだ？｣

私は驚いたけど、
中也は警戒どころか名を呼んで話しかけた。



？？？｢ん〜、任務続きで結構眠い。｣

欠伸しながら現れたのは、
地下牢時代に会いに来た中也の相棒さんだった。


ユキ｢この間ぶりだね、レインちゃん。覚えてる？中也の相棒の松岡ユキだよ〜｣


黒渕眼鏡の奥で眠そうに目を細めた、
寝癖つきっぱなしの黒髪。

うん、覚えやすいほどにわかりやすい。


レイン｢はい！よろしくお願いします！｣



ユキ｢さてと、今日は『外国からの無法者を捕らえる』任務だね？｣

中也｢ああ、ユキと任務なんざ、久しいな。｣



そんな他愛の無い会話を聞きながら、
目的のヨコハマ港の大きな倉庫の前に着いた。

古びて使われなくなったこの倉庫が、
無法者たちの基地になってしまったらしい。


事前に作戦した通り、
中也たちといっせいに中に入り数人を残して機関銃で撃ち抜く。


中也｢後ろにいろよ？｣

私を気づかって中也は前線に行ってしまった。




ダダダダッ！！！
ズダァァンダダダダッ！！！



黒服の射った弾を軽く避けながら舞い上がり、
弾から逃れた敵を“あの力”で倒していく中也はとても格好よかった。


たとえ記憶がなくなっても、
重力操作は出来るんだ！


ついつい見とれてよそ見をしていた、
足元に倒れた敵が動いたのに気がつかず………


ユキ｢レインちゃん！！｣

中也｢んなっ！？レインッ！！｣

そして、
私はいわゆる人質になってしまった。




敵｢コイツの命が惜しいなら武器を全て置け！｣

右腕でガッチリ腕と胴体を押さえられ、
左手で首にナイフを突き立てられる。





ああ、ナメられたものだ。

大の男に負けるような弱さなら、
吸血鬼ハンターに勝てるはず無いじゃないか。


──20話

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