【文スト】俺が帽子をかぶる理由 【中原中也】

9話　シャム、理想と質問。 ページ11

人混みの中を駆け抜ける。

シャム｢ハア、ハアハアッ！｣


姉さんが捕まった！
俺はどうすれば……！？


数分前、
銃声が聞こえた方へ姉さんが走り出した。

俺には隠れているようにと指示して………
黒服の奴らに囲まれてそのまま連れていかれてしまった。


人の多いヨコハマの町を、
もがくように走る。





ドンッ！


シャム｢うわぁ！｣

イカツイ男の人にぶつかってしまった。
たぶん俺の苦手なタイプの人だ。


男｢コラァ！餓鬼ィ、なにぶつかってンだ！アァン？｣


うわぁぁ…………やっぱりそうだった。


シャム｢す、すみません………その、急いでて！｣

男｢謝ってすむなら警察はいねぇんだよ！慰謝料出せぇ！｣

シャム｢うう……あぐっ！｣

胸ぐらを掴まれ首がしまる。




？？？｢そこの男、ひ弱な小僧を虐めて何をする気だ？｣

目にはいったのは大きな『理想』の文字。



国木田｢武装探偵社だ、小僧を離せ。｣

俺は国木田さんと言う人に助けられた。


─────────────────────────────レインside


薄暗く冷たい地下牢。
私はそこで手錠をかけられた。


レイン｢ラル…………｣

明らかに反応が可笑しかった。

本当に私がわからないのだろうか？


レイン｢何で……？｣

ラルが前世で私を見つけたときもこんな気持ちだったんだろうか？



タンタンタン、
規則正しい階段を降りる靴音。

現れたのはラルだった。


中也｢手前、名前は？｣

レイン｢レイン・レミナス。｣


名前を言うとラルは、
考えるように眉間にシワを寄せる。




中也｢手前は、いったい誰なんだ？｣

コツリ、
ラルがゆっくり近づいてくる。



中也｢このペンダントは何だ？｣

二つの金色のペンダント、
ラルがくれた大切なペンダントを差し出す。

ハッと息を飲む、
私のポケットに入っていなかった。



中也｢“ラル”って言うのはいったい誰だ？｣

コツリ、
手を伸ばせば届く距離まで来た。




レイン｢本当に覚えてないんだね？｣

涙が溢れる、
やっと会えたのにわからないなんて………


もし神様の悪戯なら、
神様はとても意地悪だ。


レイン｢家族だった私たちにくれたペンダント、一つはラルのでしょう？その帽子、私がラルにあげた物にそっくりだね。｣



そっと、
私の前髪を退けて顎を持ち上げられる。

中也｢何で、手前は生きてンだ？｣


その質問の意味が全くわからなかった。


──9話

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