４３ ページ44
それから俺たちは色々な話をした。これまでのことはもちろんのこと、小学生時代の思い出の話とかも。
彼女も俺もあれからだいぶ成長したはずなのに、どうやら中身は大して変わっていないらしい。あの頃のように話は途切れることなく続いていく。
まるで離れていたこれまでの時間を取り戻すかのように長い時間話し込んでいて、気が付いたら外は真っ暗になっていた。
「すごい突然なんだけどさ、ひとつお願い聞いてくれない？」
「おねがいぃ？」
「うん、」
ある程度話が落ち着いたと思ったとき、Aが突然そんなことを言い出した。
まあ今回助けてもらったわけだし、これといって拒否する理由もないし聞いてやるか。
「マジック見せて欲しいなって…あ、もちろん元気になってからでいいから！」
「んだよそんなことかよ〜！そんなのいつだって…」
「キッドの格好でお願いしたいの！！」
「…は？」
キッドって…キッド？あの怪盗キッドか？俺の聞き間違いか？いやそんなはずない。こいつは確実に間違いなく『キッド』と口にした。
元々こいつは小学生の頃から俺がマジックを見せると目をキラキラさせて大喜びしていたし、そんなAにマジックを見せるのは最高に楽しかった。はじめてマジックを見せた時のあの顔は一生忘れられない。
いつしかこいつをもっと喜ばせたい、もっとこいつの笑顔を見たい、という思いで多くのマジックを披露するようになって…
しかしまさかこんなことを言われると思っていなかった俺は拍子抜けしてしまう。そんな俺のことは露知らず、彼女は照れた顔をしながら話し始めた。
「実はさ、私…キッドのファンなんだよね…」
「いやキッド本人に言うのはおかしいと思うけど！でもこんな時じゃないと言えないし…」と言いながら恥ずかしそうに頬をかくA。いやこっちが照れたいんだが。
まさか久しぶりに再会したやつに(ある意味)好きだと言われ、けどその相手は俺じゃなくて…複雑な気持ちだ。
「無理ならいいんだけど…って何言ってんだろうね私！ごめんやっぱ聞かなかったことにですね…」
照れていたかと思いきや不安げにこちらをチラチラとみてくるA。そんな彼女がどうにもおかしくて。
「わぁーったよ」
「ぅえ！？まじ！？」
「あったりめーだ！キッド様に二言は無えんだよ！！」
「やったー！ありがとう快斗！いや！怪盗キッド様ありがとう！！」
急に椅子から立ち上がったAは勢いよく俺の手を掴んだ。顔が近い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柯(プロフ) - 青さん» アンハッピーセット、笑 突然の告白ありがとうございます！！ (2021年7月30日 13時) (
レス) id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
青 - アンハッピーセット一つください！お兄ちゃんに投げつける！！（ヤメロ）好きです（告白）最高かよ。 (2021年7月30日 12時) (レス) id: 157c6e138f (このIDを非表示/違反報告)
柯(プロフ) - 凛堂さん» あばばばありがとうございます！！！そう言ってもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです！！ (2021年7月26日 16時) (レス) id: d03fcb85aa (このIDを非表示/違反報告)
凛堂 - めっちゃ面白いですね！！ (2021年7月26日 14時) (レス) id: 1c8e857f37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柯 | 作成日時：2021年7月8日 15時
