バツイチキャリアウーマン×年下デザイナー君【三ツ谷隆】

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三ツ谷side



「言わんこっちゃねぇ……っ」


咄嗟に階段の手すりに掴まり、片手で
Aさんの身体を抱き止めて安堵の息を
ついたのも束の間、腕に何やら柔らかい
感触が……それがAさんの胸だと
気付くのに時間はかからなかった。


一気に近付いた距離に、Aさんの
控えめな甘い香りとお酒の匂いが交じって
クラクラする。
必死に理性を保ちながら、全く動かない
目の前の想い人を不思議に思い、
名前を呼んで顔を覗き込むと
いつも俺を弟扱いするAさんも、
流石にこれは予想外だった様で、

『ごっごめんね！支えてくれてありがとう』


って赤面しながら慌てて離れようとするから

「今離れたら危なっかしいから。
階段降りきるまで掴まってて。」

と言ったら、大人しく腕に掴まってきた。
自分で言い出したことだけど、これは……
ヤバい。可愛すぎる……


色々と抑えるのに必死だった俺は、
階段を降りきってすぐに距離を取った。



『ホントにごめんねっ！ケガ無かった？
私の全体重かかったから重かったよね！？』


「Aさん一人支えるくらい全然
余裕っす。俺こう見えて力はあるんで。」


『そっか！ありがとね。
あのね、今日三ツ谷くんと久しぶりに
飲めて嬉しくてさ、結構飲ませちゃったから
付き合わせて申し訳なくて、これが部屋に
あったの思い出したから渡したかったの。』


胸に抱えていた物に視線を向けると、
飲み過ぎに良く効く某栄養ドリンクと、
レトルトのしじみ汁(笑)


可愛くて思わずフッと笑いをこぼすと
目の前には不満げな顔のAさん。

『あ！今バカにしたでしょ〜！？
騙されたと思って帰ったらすぐ飲んで！
翌日の体調全然違うからっ！
あ……でも三ツ谷くん私より全然若いから
こんなのに頼らなくても大丈夫か……』

と、今度は明らかにシュンてなってるし。



あーあ、この人は何でこんなに可愛いのか。
７歳の差なんて俺は全然気にしてないのに
目の前のこの人は、ことあるごとに
こういう事を言っては勝手に落ち込んでる。


「バカにしたんじゃなくて、ただ可愛くて
笑っちゃったんですよ。明日も仕事なんで
助かります。俺の為にありがとうございます。」


『か、可愛いなんて三十路過ぎたオバサン
に簡単に口にするでないっ！！』


「なんすか、その口調(笑)」


『うるさいっ！今日は私も飲み過ぎた！
酔っ払った！もう寝る！おやすみ！』

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