少尉殿といっしょ【鯉登音之進】 (ページ42)

今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:29,596 hit

41 ページ42

風呂から上がって兵舎に戻る廊下。

響くのは私の足音だけ。

まだ乾いていない髪の毛を揺らしながら歩く。

ふと、窓の外を見た時だった。

「…？音之進？」

暗い森の方へランタンを持って進んでゆく音之進の後ろ姿が見えた。

こんな暗い時間にどこへ？

考えるよりも先に、私は外へ飛び出していた。

ーーーーーー

「…見失っちゃった」

音之進が進んだと思われる道を歩いていたのだけれど、すぐに道無き道になってしまい進む事が出来なくなった。

引き返そうとした時だった。

「う、ぁあ！！」

ズザザザ、と落ちてゆく身体。

足を踏み外して崖を滑り落ちてゆく

バキバキと木を折りながら下に落ちた。

「いたいぃ…」

やっと崖の下までたどり着いたようで、落ち着くことが出来た。

しかし体は傷だらけ。足から出血していた。

しかしそんな事がどうでも良くなるくらい、目の前の景色に圧倒された。

「…わぁ…」

一面に広がる青い花畑。

天国来ちゃった？

立ち上がろうとしたその時だった。

鯉登「A！？上から落ちてきたのか！？」

両手に青い花をたくさん抱えた音之進がこちらに走ってきた。